第3話  映像

まず、テレビに映し出されたのは真っ赤なラバースーツを着た人妻。

何もつけておらず、ラバースーツを除けば裸の状態。

今と違うところは今のようにヌメヌメとした感じの光沢がないことぐらいだろう。

撮影しているのは夫だろうか?

ホテルの部屋のような所で人妻はくるくると回り、テンションが高いのが分かる。

前後にファスナーが見当たらないので、ネックエントリータイプのラバースーツを着用しているのだと思った。


ベッドに座った人妻は、ベッドに置いてあった水着に足を通す。

黒くテカリのある水着を着るとハイネックで背中にあるファスナーを夫に向けると、夫は撮影をしながらファスナーをあげた。

水着は水球水着でかなりピタッとした印象だ。

それを指示されてか、夫は足元から舐めるように撮影する。

ラバースーツがなければ、よくありがちなエロいプロモーションビデオにも見えなくない。

ただ気になったのは胸のところ、大きなのは分かっていたが、水着のインナーがなくピッタリしたものだから、潰されているが乳首が勃起しているのが見てとれた。

黒い水着で凹凸がハッキリしたのもあるだろう。


思わず隣に座っている人妻の胸を見る。

黒いラバーのワンピースは水着ほど、ピタッとしていないので人妻の乳首は潰されず、勃起がハッキリと分かる。

それに反応するように俺の股間も勃起し始めた。




映像は切り替わり、部屋の外の廊下。

水着に大きめのTシャツを着て歩く人妻の後を撮影しながら夫がついて行く。

ラバースーツを着ていなければ、リゾートホテルなどで見かける姿だが、足が赤い、そして頭も全て赤く顔は分からない。

当然、すれ違う人はガン見して通り過ぎる。

しかし、人妻は全く気にしていない様子。


また、映像が切り替わりプールではしゃぐ人妻。

浮き輪でプールに浮かぶ姿が映っているが、ラバースーツを着ているので違和感を感じざるを得ない。


次の映像は海沿いを歩いて行く映像。

プールの後の映像のようで、Tシャツが濡れているので、黒い水着が透けて見える。

当然赤いラバースーツは着たまま。

どこかへ向かっている様だ。


映像が切り替わる。

プラスチック製のイスに座り、人妻がウエットスーツを着ようとしている。

“え!まさかダイビングでもするの?“

俺は心の中で呟いた。

赤いラバースーツが黒いウエットスーツに置き換わっていく。

ウエットスーツを着てしまえば、ラバースーツはそれほど気にならない。

それでも問題は頭というか顔だ。

頭部はつるんとして、ノッペラボウ。

マネキンにウエットスーツを着せたようになっている。

水中メガネはいいとして、レギュレータで呼吸は出来るのか?

そんな俺の心配は次の瞬間すぐに消えた。

金魚鉢のようなヘルメットを装着したからだ。

そのまま海の中を楽しむ。

途中、インストラクターが夫の水中でも撮影できるビデオカメラを受け取り、夫婦を撮影した。




初めて出てきた夫の顔に俺は呆然とした。

そこに映っていたのは、俺!?

間違いなく俺だ。

金魚鉢のようなヘルメットだからこそ、顔がハッキリと映っていた。


俺は必死に記憶を辿るが、思い出せない。

仕事は訪問販売していたが、それ以外の自分の家や結婚して妻がいる事も間違いない。


水中散歩が終わり、陸上でも俺に感想を聞きながらビデオカメラを回す妻。

そこで映像は終わっていた。

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