第2話 2人きり

ある程度、訪問販売を一回りしたところで、例の家の玄関の扉が開いた。

先程の人妻の顔を拝めるのではと期待したが、それはあっさりと裏切られた。

出てきたのは、黒いテカリのあるロングダウンコートに合わせた様な黒光りするニーハイブーツ。

ダウンコートの中はこちらも黒光りしたショート丈の体にピッタリフィットしたワンピース。

スカートとブーツの間、いわゆる絶対領域には赤いラバーの足が見える。

ダウンコートから出ている手も、顔もやはり赤いラバーで覆われていて素肌の露出は一切なかった。

つまり、先程訪問販売した時とエプロンが外出用?の服に変わっただけで、中身は何も変わっていなかった。


俺はまさかそんな格好で出かけるのかと驚き、突っ立ったままそれを眺めていた。

当然、あんな格好は家だけだろうと決めつけていたからだ。

まさか、ラバースーツの上から着込んで外出するなんて、想像もしていなかった。

さらにあの人妻に物凄く興味が湧いてきた。

人妻は赤い車に乗って走り去ってしまった。


追いかけようとしたが追いつかず、近所を営業で回って時間潰しをする事にした。

8件回って1件聞いてくれる方はいたが、7件は門前払い。

9件目を門前払いされた時、赤い車が帰ってきた。

あの人妻は買い物袋を抱えている。

あの格好で買い物に行ったのかと、驚くばかり。


俺は自然と近づき車から降りてきた人妻に声をかけていた。

俺は初めから分かっていた。

人妻がラバーフェチであることを。

なぜなら、俺もラバーフェチだからだ。

人妻からは自分と似たものを感じていたが、外出はもちろん、買い物までしてくるとは、重度のラバーフェチであることを確信した。

【こんな女性と知り合いたい!】

俺は仕事そっちのけで、人妻に夢中になっていた。


俺の方を見た彼女は自分と同じものを感じたのか、何も言わずに俺を家へ招き入れてくれた。

リビングに通されたが、ごくごくありふれたリビング、ラバーフェチを思わせるようなものは見当たらない。


勧められるまま、正面にテレビがあるソファーに腰を下ろす。

人妻はダウンコートを脱ぎ、ワンピース姿のまま俺の横に座った。

ニーハイブーツで分からなかったが、ラバーで出来たニーハイソックスを着用しており、ブーツを脱いでも絶対領域は顕在であった。


ソファーに座ると、人妻から話しかけてきた。

「あなた、私を見て変に思うどころか、逆に興味を持ってしまったのかしら?」

「ええ、まあというかもともと俺もそのーラバーフェチでして」

そう答えると人妻は俺に抱きついてきた。

「嬉しいわ、私の事、理解してくれる人がいて」

表情はマスクで分からないが、声のトーンで喜んでくれいる事は間違いなかった。


「私の夫なんて、お前の趣味には、もうついていけないと言って先日家を出て行ってしまって、私は今1人なの」

俺は人妻のヌメヌメとした光沢放つ全身を見ながら生唾を飲んだ。

当然、男女が2人きりなってする事は決まっている。

俺は人妻に抱きつこうとした時、人妻はそれをヒラリと交わしてテレビの方へ行ってしまった。

俺は抱きつき損ねたのを誤魔化す様に聞いてみる。

「映画でも見るんですか?」

俺の問いに人妻は準備をし終わり答える。

「見てもらって感想聞かせて」

何を見せられるのだろう。

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