「…あのなぁ。コレは、国宝級を軽く超える品物なんだぞ?俺が知る限り、コレクラスの魔武具は世界で三個しか確認されてないはずだ。…それを約束だからハイ差し上げます、なんて馬鹿のする事だぞ?」

「そうでヤス!売れば八代先まで遊んで暮らせるお金が手に入るでヤスよ!!」

 呆れた様に説教をするガレオに、お金の事を持ち出すレットン。二人の言葉に絶対渡さないんだから、とでも言いたそうに魔剣を抱えるアリア。

「…俺は約束を破るのは嫌いなんだ。常識のない俺を心配してくれてるんだろうけど、男が一度した約束なんだ、反故にさせないでくれるか?」

「「…」」

「そうよね!約束だものね!仕方ないからコレは私が貰ってあげるわ!」

「「…」」

 約束を反故にされるとビクビクしてたくせに、約束を破るのつもりはないと知って強気になりやがったな…。

「はぁ…。もう何にも言わん。約束とはいえ、お嬢に良くしてくれたんだ礼をしないとな、ありがとう」

「あっしからも礼を言うッス。ありがとうでヤス!」

 年長の振る舞いってやつなのか、ガレオが深々と頭を下げ、慌てた様にレットンもそれに倣う。

「やめてくれ。俺は俺の好きな様にしてるだけだから、礼なんてされる事じゃないんだから」

「それでも礼くらいは言わせてくれ。なんせコレは礼を言ったくらいじゃ足りない代物なんだからな。お嬢もちゃんと礼くらい言えよ?」

「うっ…。あ、ありがとう…」

 ガレオに凄まれたとはいえ、貴族様が礼を言うなんてな。

「どういたしまして」

 これで俺の自由は約束されたはずだよな。

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