「そうだな!聞くより実際見た方がわかりやすいだろうしな!」
「本を読むならスライム殴れってやつッスね!」
レットンの意味不明な発言に頭から?が出てしまっていたのか、アリアが意味を教えてくれた。日本の諺での百聞は一見にしかずと似たような意味合いでよく使われるらしい。
「ヘヘッ、オラの勝ちでヤス。兄貴には悪いッスがお先に失礼しやすよ」
アリアと話していた間、どちらが先に儀式をするのかジャンケンで勝負をしていた二人だが、レットンが勝ったようで、俺が現れた祭壇の脇にある台座に近づき手を置いた。
「天地創造せし始まりの神よ 全てのものの創造主よ 卑小なる我が身に恩恵を 我が言の葉に応えたまえ---【神授の儀】」
レットンが呪文?を唱え上げると、手を置いた台座が光り、刻まれた模様を介して舞台へと伸び魔法陣が現れる。ギュルンッと回転しながら広がった魔法陣に少しビビったのは内緒にしておこう…。
直径五メートルほどの大きさになった魔法陣は、パァァン!と弾けると一対の籠手を残して消えてしまった。
「おっ?ありゃ魔装だな。レットンにしてはいい引きしてるぜ」
いつの間にか隣に立っていたガレオが籠手を見て教えてくれた。
俺にはわからないが、どうやら結構なレア物らしく、籠手を手に取ったレットンが嬉しそうにニヤついている。
「次は俺だな!」
レットンと交代するガレオが気合を入れて両頬をバチンっと叩くと台座に向かった。
「天上の神々統べる最高神よ 全てを造りし創造神よ 矮小なるこの身に如何なるものをも打ち破る破魔の力を授けたまえ---【神授の儀】」
あれっ?レットンの時と呪文が違うぞ…?ッと、演出も違うじゃん!
祭壇の上では複数の魔法陣が重なり、円柱状に伸びていき、二メートルほどになったところで、弾けて消えると大剣が浮かんでいた。
「よっしゃー!俺のは魔剣だぜ!」
大剣を手にしたガレオが頬ずりしながら喜んでいる。ガレオのやつはアレか?武器フェチってやつなんだな。……俺にはよくわからん…。
「さぁさぁ、兄貴の分もまとめて鑑定よろしくッス!」
二人の結果を見てムスッとしているアリアに自分の出した籠手を渡したレットンが、祭壇に向かってアリアの背中を押し出す。
「あ、お嬢!コイツの鑑定よろしく頼む!」
上機嫌で大剣を差し出すガレオの声が弾んでいる。どうやらアレもアタリのようだ。
アリアは、それぞれから預かった武具を床に置いくと、それぞれに一枚の紙を乗せる。チッって舌打ちが聞こえたのは空耳だろう…。
「象られた器に満たされる力 我、森羅万象の探究者 全ての物を見定めん---【
アリアの掌から、ホワンッと光が放たれ武具を包んだ後、置かれた紙へと収束されるように消えると、文字のが浮かびあがった。
えっ?今のってもしかしなくても魔法だよね?異世界初どころか、人生初の魔法がショボいんだけど…。
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