この世界の生活が、この神授の儀ガチャによって支えられていると言っても過言ではないようだ…。

 どうりで俺が神授の儀ガチャを知らない事に驚くわけだ。この世界では常識なんだろう。俺が知らないのは異世界人だからだと言った方がいいのか?…いや、もう少し様子を見てからでも遅くないだろう。

「ありがとう。…ちなみに、俺でも神授の儀ガチャってできるのか?」

 俺には使えない。なんてことは無しにして欲しい。この世界で神授の儀ガチャができないと死活問題になりかねない。

「どうなんだろうな…。神授の儀ガチャができないって人間を聞いたことがないから、できるって言ってやりたいが自信はないな…」

「そもそも、神授の儀ガチャを知らないって人間に会ったのも初めてなんだけど…」

「考え過ぎッスよ!SPがあれば誰でもできるはずでヤス」

 そうだ、神授の儀を行うガチャをまわすにはSPが必要だもんな…。で、SPって何?

「…まさかとは思うけど、SPも知らないのか?」

「知らないな…。何度も繰り返すけど「常識が違うのよね?」…そういうこと」

「ハァ…。まぁいいわ。SPっていうのはねーーーーーーーーー」

 溜息を吐きながらもアリアが説明してくれた内容をまとめると


  ●SPとはスピリット・ポイントの略称らしい

  ●SPは身体のどこかに記されている

  ●SPを取得するには生命いのちを奪わなければいけない

  ●SPの入手量はその生命体の強さに比例する


とのことだ。


 平和な世界にほんから来た俺に、魔物討伐なんてできるのか不安だったが、どうやら薬草や農作物の採取なんかでもSPは取得出来るようなので一安心だ。

「ここまで常識を知らないなんて、まるで異世界から来た初代勇者様みたいね」

 アリアの発言に心臓が飛び出すほどドキッとさせられたが、俺が異世界人だとは思っていないようだ…。

 それにしても、この世界に俺以外の異世界人が居る可能性があるのか…めんどい事にならなけりゃいいけど…。

「よくわかったよ。俺が住んでたのは島国だったから情報が遮断されやすかったんだろうな…。それよりも俺ってSPを持ってんのかな?」

「一つ忠告しておくけど、無闇に自分の所持しているSPを他人に見せないようにね。人を殺した場合、その人の所持するSPの半分が入手できるから、大量のSPを所持してるがバレると狩られるわよ」

 俺がSPを所持してるか探していたら、アリアが物騒な事を言ってきた。異世界って怖い…。右手のてのひらに数字を見つけたけど、これは見せないようにしないとな…。

「話しが終わったなら、そろそろ俺達も神授の儀ガチャをしたいんだが…問題ないか?」

 さっきからソワソワしてると思ったら、ガチャをしたかったのか。……まるで廃課金者みたいだな。

「そうだな。実際どんな風にするのか見てみたいから、見学してもいいか?」

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