「…えっ?に、人間!?なんで!?」

 耳に届いた可愛らしい声にまぶたを開くと瓦礫が散らばるなんともいい感じの遺跡感漂う場所に俺は現れていた。

 舞台のような所に立つ俺の前に、腰まで伸びた金髪が眩しい美少女が!あかと白のツートンカラーの軽鎧を纏うその姿は、まるでゲームに出てくる女剣士や女騎士のようだ。クリっとした翠瞳はまだ子供っぽさを感じさせながらも、気の強そうな印象を与えている。この少女がさっきの声の主か?

 少女の他には漆黒の全身鎧を纏う褐色肌の髭ダンディと身軽そうな革鎧の坊主頭のにぃちゃんしかいないしな。

 というか、全員装備がボロボロなのはなんでだ?てか、本気まじファンタジー!!あっ、異世界転移がすでにファンタジーだったな…。

 アホなこと考えてないで、俺を見て固まってる三人をなんとかしないとな。そういえば、言葉は通じるのか?

「…えっと、初めまして。俺の言ってることわかるかな?」

「「「しゃ、しゃべったあぁぁぁぁあ!?」」」

 そりゃ喋りますよ、人間だもの…。というか、そんなに驚く事か?まぁ、言葉は通じるみたいでよかったけど、動揺しすぎだろ。

「とりあえず、一旦落ち着こう。お互いに状況を把握する必要があるだろ?」

「そ、そうね…。私もそう思ってたわ!」

「あぁ、すまないな」

「おぉ、冷静ッスね…」

 ん?なんか口の動きがおかしいけど、もしかして自動的に翻訳されてるのか?ご都合主義万歳ってやつか…。

「とりあえず、自己紹介からかな?俺は相楽蒼獅さがらそうし、十七歳だ。君達は?」

 舞台?の上から降りた俺は、第一村人ならぬ、第一異世界人との交流を試みる。あのクソ神が何も教えてくれなかったから、今の俺にはこいつらが頼りだからな。できれば友好的であって欲しいものだが…。

「サガラソーシ?変な名前ね…。私は、アリア・クラベリン、十五歳よ。先に言っておくけど、クラベリン家の長女だから、変なことしたら不敬罪で死刑だからね」

 ア、ハイ。貴族様ってやつですね。ヒロイン候補かと思ったけど、権力をかざすタイプはちょっとなぁ…。他人ひとの迷惑とか考えそうにないタイプぽいし、フラグが立たないようにしよう。

「次は俺だな。名前はガレオ。こう見えてまだ二十六歳だ」

 ごめん…。てっきり四十過ぎてると思ってた…。だって歴戦の戦士感が半端ないし、髭だし…。

「最後はオラッスね!レットンっていいやす!二十一ッス!」

 えっ?もう二十過ぎてるの!?…ガレオといい、レットンといい、人は見かけじゃわかんないよね本当に…。

「ねぇ、一つ聞いておきたいんだけど、サガラソーシって魔物?」

「ん?普通の人間だけど…」

 えっ?俺の見た目って魔物なの?てか、さっき人間!?って驚いてなかった?

「やっぱり人間よね…」

 なんかガッカリしてるけど、なんでだ?

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