買い物をしよう②

 日が昇って少ししたあたりだろう、久しく見ていなかった時計を見ると短針は真下にも行ってなかった

 でももう一度寝るのは向こうでの生活に慣れ切ってる体では無理そうだからと、起きて昨日中途半端に終わらせていたこっちでの俺たちの設定を詰める

 まあ、幸いにも家関係の手続きとかは昨日と、俺が寝ている内に終わらせておいてくれているらしく俺がすることと言えば姉ちゃんへの説明方法を考えるぐらいだろう

 なら折角だからと姉ちゃんのために朝食でも作ろう。料理スキルはそんなに高くはないけど、まあ駆け出し冒険者時代に結構経験してるからある程度形にはなるだろう

 家と一緒に時を巻き戻して使えるようになっている冷蔵庫があったから、中を見てみるといろいろと食材があったけど、賞味期限は全部最近の物だったから、アインザックかその部下が用意した物だろう

 幸いガスコンロも旧式だけど炊飯器も電子レンジもあった。まあ時が戻って新品同様だけど、ずいぶん昔の物だから全部買い直す必要があるだろうが、朝食ぐらいは作れるだろう

 二人だから3合ぐらいで足りるよな? まあ足りなくてもアインザックに時空魔法を使わせればいいだろう

 せっかく日本には帰ってこれたわけだし、作るなら日本食、いい鮭が冷蔵庫に入っていたし焼き鮭と味噌汁、あとパックの浅漬けとヨーグルトを盛り付ける

 ちょうど鮭が焼き上がりそうという頃に姉ちゃんが降りて来た

「おはよう。ごめん、マサくん。朝食って……」

「おはよう、姉ちゃん。せっかく日本に帰って来たんだから、朝はアインザック達に買い物を頼んで和食のご飯を用意したよ」

「やった! ありがとう、マサくん」

 心底嬉しそうに飛び跳ねて喜んでくれた姉ちゃんに、作ってよかったって思いながら、俺はあんまり好きじゃない鮭の皮は好きらしい姉ちゃんにあげる。

 決していらないものを押し付けたんじゃない、好き嫌いの差だ……姉ちゃんは嬉しそうに食べてた

「ごちそうさまでした……ああ、美味しかった。久しぶりの和食大好き」

「喜んでくれてよかったよ」

 面倒くさがってアインザックたちにやらせるんじゃなくて自分でやってよかった

 まあその他の雑用や家事は全部アインザック達に丸投げするつもりだけど……

 そういえばそろそろだろうと思ったタイミングで、チャイムが鳴って取ってきてもらうと思った通り昨日頼んでおいた、姉ちゃんと俺の分の服だった

「向こうから持ってきたのはこっちじゃ目立ちすぎるし、これから服を買いに行くまでの応急処置として服を買っておいたんだ」

 正直俺が基本持ってるのは冒険者としての服や装備だらけだから、絶対にこっちじゃ来たくない。素材なんて向こうのヤバイモンスターから剥ぎ取った物ばかりだし……

 絶滅するぐらい手当たり次第に狩って防具にした竜が素材のフルプレートとかもあるし…………チッ

 どうにか自分に合うサイズの服で上下を合わせて、家の近くのアウトレットモールに服と靴、あと下着を二人分。最後に菓子折りやタオルを一緒に買って、持って引っ越しして来たっていう挨拶を姉ちゃんと一緒にご近所さんにした

 使い魔たちにやらせた情報操作のおかげで受け入れられるのは早かったのが幸いだな

「やっぱり買い物は姉ちゃんが一緒だと安心感すごいね」

「そう? まあ、私が役に立てるのはこれくらいだからね。買い物ではどんどん頼って……あ、マサくんそれはやめた方が良い。同じデザインの物でもこっちの方が良いよ」

 姉ちゃんがそういうっていうならそうなんだろうと一個となりにあるやつを選んで買う

 服と靴を買って随分と動きやすくなったから、姉ちゃんが自分用の下着を買っている間に俺はちょっと他の店を見てみることにした

 流石に女物の下着を売っている店に入るのは無理だからね……一応性別が女の奴に影ながら見守らせてるけど、あいつ人間に擬態するの、すごい嫌がるからできれば何事もなく終わって欲しい

 こっちの情報を集めようと本屋に寄って、姉ちゃんの好きそうな本があったからそれを買ったり、石鹸の香りがすると思ったらバスボムや石鹼の専門店があったから中をのぞいていたら、そろそろ姉ちゃんの買い物が終わりそうと連絡が来たから、いい香りのするバスボムのおすすめを教えてもらって種類買うことにした。

 姉ちゃんが気に入ったものをあとから買い足せばいいだろう

 買ったものを人もいなく、アイテムボックスに入れて、急ぎ足で姉ちゃんの元に戻った

 俺たちがそれらを買っている間に、アインザックの部下たちが食材とか、しばらくやり過ごせるようにのキッチン用品や生活必需品を買うように言って置いた

 姉ちゃんのあの上、あいつらに色々やらせた方が良い

 まあ、こんな風に買い物を済ませていたらすっかり時刻は夕方になって居た

「お昼、食べはぐっちゃったね」

「ね。まあ向こうじゃ一日二食が普通だったからね。完全に忘れちゃってた」

 俺も姉ちゃんも向こうじゃ王族には至らないけど、両方貴族での暮らしをしていたからいい生活をしてたけど、それでも一日は朝と夜の二食だった

 まあ一日仕事で激しく動く冒険者で、そのの中でも金に余裕のある部類の人達は間食を取るけど、一日三食食べる文化はない

「その分アインザックに夕飯は豪華にしてもらおっか」

「さんせーい! 朝は和食だったから、夕飯は洋食がいいけどもう夕飯の準備始まっちゃったかな?」

「ちょっと待ってね……」

 アイツは俺の使い魔だから、離れていようがテレパシーで会話をすることができる。さすがに異世界単位は試したことが無いけど、今は同じ世界にはいるから大丈夫だろう

『アインザック。夕飯の準備はしてるか?』

『はい。主様。今日は肉じゃがを作ろうと煮込みを開始していますが……』

『それ変更、洋食にして。あと肉じゃがは完成させた後にアイテムボックスに入れて』

『了解いたしました。では姉君様の好物であるデミグラスのオムライスにさせていただきます』

『ああ。頼んだぞ』

『かしこまりした。それと、新しく最新型の冷蔵庫を買い直したのですが、それに時空魔法をかけ内部の物を冷やすと同時に、内部の食材の時間経過の一切を停止するようにしましたので、肉じゃがは冷蔵庫に入れておきます』

『分かった。その他の家電は?』

『キッチンの水回り、キッチン家電、ガス周り、お風呂周り、洗濯機、電気用品

は最新式の物を、および掃除機は最新で尚且つ自動式の物で整えております』

『分かった。足りないものは順じ買い足していけ』

 初めからそうだって言うのを装って笑顔で変更されたメニューを言ったら、好物を作ってくれると大喜びしてくれてよかったと安心する

 ニンニクの効いたバターライスをふわふわトロトロの卵で巻かれていて、デミグラスソースもたっぷりとかかっているオムライスを食べて、ソファで満足そうにしている姉ちゃんに明日の予定を確認する

「うーん……今日いろいろな所に行って疲れちゃったから、明日は家でゆっくりしていたいな。あ、でもその後はこの家の所有者さんに挨拶に行かないと」

「分かった。じゃあ明日はちょっと俺が行きたい場所があるから、家でゆっくりしててね。食事はストックさせておくから電子レンジを使って。ヴェンは家に置いて行くから、何かあったらヴェンを通して伝えてね。それと親戚ってことの人には向こうの予定が合った日に行こっか」

「はーい。気お付けて行ってね」

 なら明日向こうとの接触をするか。こっちでの状態を急速に整えていることについて向こうも不審に思ってるだろうし、こっちとしても早く接触して姉ちゃんに勝手に接触されるよりはましだして年

「お風呂の準備できてるから、先に入って来て。いい香りのするバスボム買っておいたんだ」

「ありがとう。せっかくだし使わせてもらうね」

 あのバスボム、姉ちゃんも気に入ってもらえると嬉しいな……。あと姉ちゃん用の本を部屋に持って行かないと……

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