買い物をしよう①
前より微妙に硬いベッドに違和感を感じながら起き上がる
眠い目を擦りながら部屋を見渡すと少し狭いと感じてしまったが、帰って来たってことを思い出して完全に向こう背の生活に染まってしまっていると実感した
鼻をくすぐるいい香りがしていて、昨日から何も食べてなくてお腹が空いていることを思い出した
「おはよう。ごめん、マサくん。朝食って……」
「おはよう、姉ちゃん。せっかく日本に帰って来たんだから、朝はアインザック達に買い物を頼んで和食のご飯を用意したよ」
「やった! ありがとう、マサくん」
久しぶりの和食、楽しみだなぁ~
出されたホカホカご飯に、皮までパリッと焼かれた塩鮭、温かい優しい出汁と塩味の味噌汁、焼き目が奇麗で中がトロトロな卵焼き、独特の癖になる匂いの浅漬け、酸味と甘みの調和の取れたヨーグルト、苦いけど安心する緑茶。
全部が懐かしくて、優しくて、どんどん箸が進んで次々と皿が空になっていく
因みに私は焼き鮭は皮まで食べる派だ。それを知っているから皮までしっかりと焼いてくれるし、食べない派のマサくんの分までくれた
「ごちそうさまでした……ああ、美味しかった。久しぶりの和食大好き」
「喜んでくれてよかったよ」
いつの間にかゲートから出していたらしいアインさん、私はアインさんって呼んでるけど、彼の部下さんたちが皿をかたずけて洗ってくれるとこまでテキパキと家事を済ませくれた
本当にありがたい……
それをチャイムが鳴ったと思ったら、玄関の方からちょっと大きめの段ボールを持ってきた
アインさんの部下が中を開けてくれたけど、中身は全部男女半々の服だった
「向こうから持ってきたのはこっちじゃ目立ちすぎるし、これから服を買いに行くまでの応急処置として服を買っておいたんだ」
ああ、確かに。向こうで手に入る服って、中世とかザ異世界って感じの物ばっかりだし、あの服で外に行くのは……ちょっとうん。秋葉原でもない限り嫌かな。もちろん秋葉原に服を買いに行けばいいって話でもないんだけど……
サイズは適当に買っていたらしく、サイズが合わないのもいくつかあったけど私のサイズは平均的なものだからとくには問題が無かったので、うまく上下共に合わせて、家はアインさんの部下に任せて生活必需品を買い行く
幸いにもかなり大きなアウトレットモールがあったから、一先ずはそこで服と靴、あと下着を二人分。最後に菓子折りやタオルを持って引っ越しして来たっていう挨拶をご近所さんにした
「やっぱり買い物は姉ちゃんが一緒だと安心感すごいね」
「そう? まあ、私が役に立てるのはこれくらいだからね。買い物ではどんどん頼って……あ、マサくんそれはやめた方が良い。同じデザインの物でもこっちの方が良いよ」
大量生産品だからしょうがないとは思うけど、それはほつれ易くなってる
みんな突然引っ越してきた私たちには驚いていたけど、みんな笑顔で快く受け入れてくれた
マサくんが言うにはうまく情報操作をしておいてくれたらしい。あと家の方は私たちの親戚の持ち家ってことにしているらしい。もちろん光熱費とかは自分で出さないとと思うけど、その辺の手続きと収入については全部マサくんがやってくれた。ありがたやー
あとその親戚ってことになっている人たちは本当に居るらしいから、今度挨拶に行かないと……
そんな事をしている間にアインさんの部下さんたちが食材とか、キッチン用品やティッシュやトイレットペーパーなどを買っておいてくれた
本当にマサくんさまさまだよ……こっちに戻ってきた以上、あの体質もどうにかなるって思ったんだけどな……
まあ、こんなことをしていたらすっかり空は夕焼け色になって居た
「お昼、食べはぐっちゃったね」
「ね。まあ向こうじゃ一日二食が普通だったからね。完全に忘れちゃってた」
向こうじゃ結構いい生活をしてたけど、それでも一日は朝と夜の二食だった
「その分アインザックに夕飯は豪華にしてもらおっか」
「さんせーい! 朝は和食だったから、夕飯は洋食がいいけどもう夕飯の準備始まっちゃったかな?」
「ちょっと待ってね……」
アインさんはマサくんの使い魔だから、テレパシー? 的なのを使えるらしく、立ち止まって確認してくれたのかな? 嬉しそうににっこり笑って
「こんばんはデミグラスのオムライスだって」
「やったー! アインさんのデミグラス美味しくて大好き!」
向こうでもたまに作ってくれてたけど、向こうの家族も喜んでくれてたぐらい絶品なんだ
時空魔法を使って丸4日ぐらいかけて作ったものと同等の代物にしてくれるんだ~♪
オムライスも卵がトロトロで、酸味の効いたケチャップご飯は具沢山、デミグラスソースを合わせて食べるとそれはもう他の、他のオムライスなんて食べられないよね
出来立てホカホカで美味しいアインさんが作ってくれたオムライスをお腹いっぱい食べて、ソファに座って一息つくと傍に居る人は同じなのに、やっぱり別の世界なんだなって感じる
「そうだ姉ちゃん。明日何かしたいってことはある?」
「うーん……今日いろいろな所に行って疲れちゃったから、明日は家でゆっくりしていたいな。あ、でもその後はこの家の所有者さんに挨拶に行かないと」
「分かった。じゃあ明日はちょっと俺が行きたい場所があるから、家でゆっくりしててね。食事はストックさせておくから電子レンジを使って。ヴェンは家に置いて行くから、何かあったらヴェンを通して伝えてね。それと親戚ってことの人には向こうの予定が合った日に行こっか」
「はーい。気お付けて行ってね」
どこ行くんだろう? 気にはなるけど、マサくんにだってプライバシーはあるしね。それよりも明日のご飯って何だろう
「お風呂の準備できてるから、先に入って来て。いい香りのするバスボム買っておいたんだ」
「ありがとう。せっかくだし使わせてもらうね」
マサくんのいう通り、薔薇のいい香りのするバスボムがあって疲れた体を心底癒すことが出来て、髪を乾かしたらそのままぐっすりと眠ることが出来た。
あと部屋に私好みの知らない本がたくさんあったけど、どうやらマサくんが私のために用意しておいてくれたらしい。本当にありがたや~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます