第57話 追っ手から逃れる術はあるのだろうか?

殺人ウサギに出会い、1体倒してから一旦引いた俺達。

「あれの他に大量に現れたら全滅していたかもしれないから、戻ってきて正解だったかもね」

旭さんも撤収に納得してくれていたし、さっさと撤収したので怪我人も出さずに済んだのも良かったかもしれない。

「個体差をもう少し調べてみたかったのですが、致命傷を与えると聞いておりますのでそれはまた次回ですわね」

諦めきれない口調でロナ様が呟いたけれど、皆は聞いていないフリをしている。

さっきのウサギの様子から、このまま暗殺者の奇襲を受けずに無事に宿屋に戻れるかが不安になってきた。

他の人に巻き込んでしまい、危害が及ぶ前にさっさと次の街へ向かった方が良いのかもしれない。

「ねえ、前に人が倒れているんだけどどうする?」

俺が考えていると、旭さんが急に声を上げた。

よく見ると旅人のような服装の男性が倒れている。

「行き倒れ?」

「あからさまに道の真ん中に倒れていて怪しすぎない?」

「近寄らんほうがええんやない?」

少し遠ざかりながら俺達がヒソヒソ話していると、その人をついばもうと鳥が数羽寄ってきた。

「生きてるの?」

一応息はあるらしく、突付かれて痛いのか、ピクピク動いているようだ。

「アレ、どうする?」

「どうしたらいいんだろう…」

「放っといた方がええんちゃう?」

関わりたくないのか、さっきからカラチは塩対応だ。

ずっと遠巻きにヒソヒソ話しているためか、倒れている人が突然ガバッと起き上がった。

「なんで助けないんだよー!!」

「あ、生きていた」

突付かれていた人は立ち上がったが、

「お腹…空いた…」

と、言ってからまた倒れてしまった。

「腹減ってるのか?」

「宗也くん、何か食べ物あげたら?」

俺の後ろに隠れながら旭さんが言ってきたので俺はカバンからお昼ご飯用に作ってあったサンドイッチを取り出して、

「あの〜、よかったらコレどうぞ」

「これ…食べていいんか?

おおきに!」

ガバッと起き上がってお礼を言いながら、俺の手からサンドイッチを受け取り、バクバク勢い良く食べ始める男性。

「じゃあ、俺達はこれで」

大丈夫そうなのを確認したので俺達はそそくさと立ち去り、街へと向かっていった。

「なんだったんだろ、あの人」

「さあ?

まあ、こちらとしても巻き込んじゃいけないから早く行った方がいいかもね」

早足で進み、宿屋まで戻ってから預かってもらっていた荷物を受け取り、宿代を多めに支払ってからすぐにギルドにも顔を出して次の街に行く事を告げて街を去った。


「えー?

もうアイツら街を出てったのかよ!」

俺達が街を去った後、ギルドに男性がやって来た。

「あら、すれ違いだったのかしら?」

顔見知りなのか、対応した受付嬢が親切に教えてくれる。

「まあいいや。旅をしていたら会えるだろうから。それで、次の街はどこに向かうって?」

「それが、どことも言われなかったのよね」

そう言われて男性は近くのテーブルに周辺地域の地図を広げて、

「今がここで…次に行きそうなのは…」

少し考えた後、

「ま、いいや。

調べる方法は色々あるし、あの依頼があるから危険を避けた行動をしているだろうしな」

男性は受付嬢に礼を述べてから宗也達と同じ方向に向かって歩き始めたのだった。


街の出口付近ではガラの悪そうな男達が数人、宗也達の行った方向を見ながら会話している。

「で、アイツらはどっちに向かって行ったんだ?」

「へいマスター、こっちに進んで行ったらしいですぜ」

「よし、お前ら変な連中もうろついているらしいから早く手柄を挙げないと、取り分なくなっちまうぞ!」

「へい!マスター!」

マスターの命令を聞き、男達は方々へ向かって散っていた。


果たして追っ手や暗殺者はどれだけいるのか、それを知らないまま宗也達は旅をするのであった。





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召喚闘士のデスロード 東寒南 @dakuryutou

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