第50話 6人パーティーは安全か?

沈みがちな俺達とは真逆のウキウキ顔のロナ様。

俺達はロナ様の馬車に乗せてもらい、またセントソルの街へ戻っていた。

「さあ!

何が起こったのか洗いざらい吐いて⋯もとい話して頂きますわよ!」

セントソルの領主の館で、事情聴取という名の尋問を受ける俺達。

ロナ様は終始笑顔を見せているが、内心怒りに満ちているのが言葉の端々から感じられる。

「さて、まず最初はどうしてわたくしよりも先にコソコソと街を出発しましたの?」

「それは⋯」

俺が言葉を濁していると、

「危険な目に合わせてはいけないと思ったからです!」

旭さんが手を挙げて俺の代わりに答えてくれる。

フォローしてくれてありがとう旭さん!

「はい、挙手して解答して下さったのは良いですね。

ですが、わたくしの身を案じて、という事でしょうか?」

メガネをクイッと直しながら、

「大丈夫、と申し上げましたでしょう?

わたくし、剣技に関しましてはその道の達人からお墨付きを頂いてますの。

なので自身の身は自身で護りますわ。

なので」

下がってきたメガネをまた上げ直してから、

「絶対追って行きますのでこれからも宜しくお願いいたしますわ」

にこやかな表情でロナ様は俺達に告げる。

「断ってもついて行く⋯という事ですね⋯」

「なんとか危険を避けて行くしか無さそうね⋯」

「これまで以上に情報が必要やな」

「カラチ頑張ってや〜」

「ジャララも協力せいや!」

安全な道を選ぶのに情報を得るのはカラチとジャララさんが適任のようだ。

俺はフウッとため息を付いてから、

「ロナ様、これからどうぞよろしくお願いいたします」

と、新たな仲間への挨拶をした。

「こちらこそよろしくお願いいたしますわ」

にこやかに握手をして和解の形を取っていると、役人らしき人が部屋に入ってきてロナ様と二言三言会話をしてから、

「あと、役人からの情報ですが、あの盗賊さん達はどうやら闇ギルドの残りのメンバーだったそうですわ。

これで闇ギルドも一網打尽となったそうですから、この街の住民も安心して暮らせますわね」

「あー、ガラが悪そうだったからそうじゃないかと思っていましたが、そうだったのですね」

「証言によると、ギルドを潰された事への恨みもあったそうですわ。

他の盗賊ギルド等への牽制や注意喚起にもなりましたし、大手柄と言っても良い結果となりましたわ」

警察で表彰状を貰えるレベルの結果と捉えて良いのだろう。

「お嬢様、ではこの者達と明日には旅立たれてしまうのですね⋯爺は寂しいですぞ」

話しが終わるタイミングで、部屋の片隅に立っていた執事さんが声を掛けてきた。

「爺⋯」

「では、ご主人様には『自分に似合う旦那様を見つける旅に出た』という理由を申し上げておきます。

それならば『連れ戻せ!』と言われずに済むと思いますので」

「爺⋯そんなにわたくしに結婚をしてほしいの?」

少し眉を釣り上げながらロナ様が聴くと、

「それはもちろん。

お嬢様には一刻も早く結婚なさって孫の顔を見てみたい⋯とご主人様のご希望でございますので」

二人のやり取りを見ながら、

「ロナ様、妙齢とは思っていたけれど、そんな歳」

「宗也くん、女性に年齢を聴くのは野暮やぼってものよ」

「そうやで。下手すると訴えられるで!」

「カラチはそれで前に痛い目おうたからなあ」

小声で呟いたつもりが、旭さんとカラチに聞かれてしまい注意されてしまった。

カラチ、失言して責められた事があるのか。

俺も気を付けよう、と心に決めたのだった。



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