第37話 開戦
襲撃は相手にバレないようにするため迅速に準備する。
ただ⋯、
「勝てるかな、大丈夫かな⋯」
俺は最近感じている不安をついこぼしてしまった。
「宗也はん、どしたんや?
なんか悩み事でっか?」
「いや⋯最近俺って足手まといになっているんじゃないか、と思って」
アトルが加わって前衛が強化されたけど、俺自身は小手先の技ばかりで決定打に欠けているのを薄々感じている。
「まあ武闘家だし、身一つの
私なんて魔法を一発放てばMPすっからかんになるんだから」
旭さんにフォローなのかなんなのか分からない事を言われてしまう。
「でも、もう少し強くなりたい⋯」
俺達のやり取りを見ていたアトルが、
「あのさ、自分の今の召喚者カード見てるか?」
「え?」
そう言われてしばらく手にしていなかったカードを見てみると、
「体力とかは少し上がっているけど、スキル⋯自己回復(中)⋯ん?」
目をこすってもう一度確認しめみると、
「あれ?
スキルアップして⋯る?」
「私も確認してみよ!
爆発魔法⋯MPに相応した威力⋯」
「やっぱりMP全力投入⋯」
「うっさい!」
旭さんも確認してみると、2人とも前よりもレベルアップしているようだ。
「まあまあここいらで一息入れましょか?
はい、お茶どうぞ」
カラチが俺達に温かいお茶を入れてくれたので、休憩を取る事にした。
のだが⋯、
「このお茶美味しい〜」
「そうだね」
旭さんと一緒にお茶を飲みほすと⋯、
「あれ?なんだか⋯」
「眠く⋯なって⋯」
2人ともその場で眠ってしまった。
「疑問も抱かず飲んでくれて助かったわ」
「せやな⋯これでこの2人を巻き込まんで良くなったわ〜」
カラチとジャララがふっと笑みをこぼす。
「俺は巻き込んでもいいのかよ⋯」
アトルがお茶を飲みながら呆れた表情をしていると、
「あんさんこの手の薬あんまり効かへんのやもん、しゃあないわ」
「まあ前衛がさっぱりいないのも危ないしな。協力するよ」
アトルも闇ギルド撲滅作戦には乗り気のようで、斧を手に持ち、すくっと立ち上がる。
「じゃあアタシはここのギルドに危険が及んだ時のためにここで守っているわね」
「ウルさん、ホンマありがとうな」
「おおきに。2人の事よろしゅうな」
「任せといて!他のギルドメンバーも数人招集したから大丈夫よ!」
「ほなお礼はアイツらが集めとるレアアイテムをかっぱらって⋯」
「それはやめなさい」
即座にジャララとウルに止められたカラチだった。
「アイツらに動きは?」
「お頭、それがアイツら」
「お頭はやめろ!ギルドマスターと呼べ!」
「ヘイッ!
で、アイツらギルド内に
ギルドマスターと呼ばせたロシチャカンの代表の男に手下達がカラチ達の様子を報告する⋯が、
「カーテンもしてあって木戸もしてあり、目隠しされているので動きが分かりません!」
外からでは内部を偵察するのには限界がある。
マスターは報告してきた手下の一人を殴り、
「くだんねえ報告してくるんじゃねえ!
何とかして情報を聞き出せ!」
そう言いながら豪華な椅子から立ち上がると、
「お前ら、このままじゃ
カチコミかけるぞ!」
「おおー!!!」
闇ギルド内にいた手下達が雄叫びを上げ、一斉に外へ飛び出す!
入口の扉を開けた途端、
ゴロッ
っと、何かが入口から室内へ転がってきて、
ドォンッ
大きな爆発音と共に閃光と爆風が発生し、建物が吹き飛んだ!
まだ部屋の奥にいたギルドマスターは
「な、なんだこれは⋯」
爆風が落ち着いてから顔を覗かせると、周りにいた手下達が重傷を負い、室内のあちこちに倒れている姿を見るのだった⋯。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます