第27話 久しぶりの討伐依頼

ドワーフ親子と出会って数日後、ギルドの依頼を受けた俺と旭さん、カラチとジャララは少し離れた野原へ向かう事になった。

「この4人で依頼をこなすのって久しぶりだね」

「せやなあ」

「最近、ギルドの手伝いとか個々での依頼とか多かったからね」

「ええんとちゃう?

1人でもこなせるくらい力が付いてきたっちゅう事やし」

和気あいあいと会話をしながら野原への道を歩いて行った。


「えー?アイツらいないの?」

たまたま街へ用事があって行ったついでにギルドにアトルが顔をのぞかせると、不在をニースに告げられてしまう。

「しょうがないだろ?仕事しないとメシも食えないんだから」

仕込みが終わってお茶を飲んでいたマーローにも正論を言われてしまう。

「ぐっ⋯」

「ハイハイそこまで。早く帰らないとマイアさんに怒られるんじゃない?」

ニースにそこまで言われ、

「じゃあ、アイツらどこに行ったのか教えてくれないか?」

「えっと⋯少し離れた先の野原よ。魔物が群れでいるって情報があって、討伐依頼を任されたのよ」

「野原か⋯分かったありがとう!」

「武器は?こいつを貸してやるよ」

厨房にいて話を聞いていたベニーが、厨房の片隅に置いてあった手斧をヒョイっとアトルに向かって投げる。

手斧はアトルのそばに落ち、床に突き刺さった。

「あっぶなー!

でもありがとう!」

手斧を取ると、一目散にアトルは外へ駆けていった。

「兄さん⋯後で床直してね」

「ハイ⋯」

さすがに投げたのはやりすぎだと思ったベニーは、ニースの言う事を素直に聞くのだった。


「あれが魔物の群れ?」

「近くの畑も荒らす様になって困っているんですって」

「そりゃ討伐依頼も出さんとアカンやろ」

「まあいつも通りで行くでえ」

草花が多い野原だが、立つと目立ってしまうため、手前の木の影で身を隠しながらヒソヒソ話をする。

すると音に敏感なのだろう。

オオカミのような見た目の魔物の一匹が宗也達の方を向き、

「グルルルル⋯」

威嚇なのか仲間に知らせるためなのか、唸り声を上げ始める。

一匹が唸ると他の魔物も警戒し出し、小さい個体を守るように陣形を組み始めた。

「頭良いんだな」

「褒めとる場合やないわ!

こりゃ10匹以上おるかもしれんで」

「最近閃光魔法覚えたんだけど、使ってみてもいい?」

ちょっと興奮しながら旭さんが聞いてくる。

「夜の方が効果あるような気もするんやけど、まあええよ」

物は試しだ。

という口調でジャララさんが話すと、

「じゃあ⋯フラッシャー!」

旭さんが杖を前面に出し、閃光魔法を放つ。

一瞬周囲が眩しく光り、目がチカチカする感覚に襲われる。

「思ったより眩しいなこの魔法⋯」

「ふむ⋯この魔法の時は色付き眼鏡必須やな」

「これも魔力全開効果なんか?」

「ほふ⋯みたひ」

即座に俺が作った食べ物を摂取しながら、旭さんが返事をする。

「ま、今は討伐に集中しよう!」

武器を構えて魔物に一撃を食らわせ続ける。

「サポートは任せてや!」

次々と矢を放ち、魔物の眉間に狙いを定めてカラチがサクサク倒していく。

俺も負けてはいられないと、装備したカギ爪と拳で次々と倒していく。

段々と魔物の数が減っていった時、一際大きな雄叫びが野原を駆け巡る。

「アオオオーン!」

魔物達はそちらを振り返り、

呼応するように吠え始めた。

「ありゃ、何だ?」

「ウォーウルフ?

そんなんおったんか!?」

「群れのリーダーなの?」

「気を付けへんとやられるで!」

俺達は警戒しつつ、また魔物達を倒そうとした時、

「グルルルル⋯グワッ」

ウォーウルフが俺にターゲットを絞り突進してきた!

防御しようにもウォーウルフの力が分からない!

「ヤバ⋯」

その時、真横から斧が俺達を分断するかのように飛んできた!

間一髪でかわす俺とウォーウルフ!

「大丈夫か!?」

声の主は⋯アトル!?

俺はつい信じられない物を見たような顔をしてしまったのだった。








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