第21話 特技を活かすイベント発生!?
まさかここで母の行方を聞けるとは思っていなかったけれど、これで返還場所へ辿り着こうという気力がさらに湧いてきた。
「いやあ、こんなご馳走まで貰えるとは思ってなかったなあ」
「辛っ!でも美味いなあこの料理。カレーって言うてたっけ?」
「あざース!褒めてくれて嬉しいッス!」
「この野菜の煮込み料理も美味しいわ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
俺へのお詫びに便乗して、旭さん達も夕ご飯をご馳走になっている。
「 2人とも料理上手いね。
俺も料理するけれど、その若さでここまで本格的な料理を作れるのはすごいよ」
俺も料理に感心して褒め言葉を述べる。
「料理⋯するんですか?」
「へー、そうなんだ⋯」
一瞬、ベニーとマーローの目が光り、
「なあ兄ちゃん、3人で料理対決⋯」
「⋯宣伝してお客を呼び込むチャンス」
と、ヒソヒソ話を始める。
「すぐそばだから丸聞こえなんだけど⋯」
「美味しい料理を食べられるチャンス!?」
「金儲けの匂いが⋯」
「ウチがウェイトレスをやってみてもええか?」
旭さん達もその対決にノリノリで乗ってくる。
「いや俺はまだ了承を」
「また宿屋を繁盛させるチャンス!」
ニースさんまで目を輝かせて、その話に乗っかろうとしている。
(あ、これやっぱり巻き込まれるパターンだ⋯)
そこまで俺は察して、
「分かった。じゃあ材料と料理テーマを決めて、3人で料理対決をする?」
と、提案してみると、
「いいんですか?ヤッター!」
「じゃあ料理考えて宣伝して⋯準備期間も
「いいよ。じゃあそれまでに材料を調達しておこうか」
「あ、それは私が行いますので」
ニースさんが買い出し役を買って出てくれた。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「私も買い出し手伝う〜」
「ウチも手伝うで〜」
旭さんとジャララさんも協力してくれるそうだ。
「ほな、ワテはあちこちに宣伝しまくってくるわ」
カラチもノリノリで宣伝プランを練り始めた。
そこまで話が進んで、俺のカバンがモゾモゾ動き出す。
(ココアの事をすっかり忘れていた!)
俺は慌ててカバンの口を開けると、
「キャンッ!」
尻尾を振りながらココアが顔を覗かせる。
「ごめんごめん⋯うん、俺が倒れた時に下敷きとかなってケガはしてはいないな。良かったよ」
撫でながら確認していると、
「ココアちゃん起きた?
何か食べるかしら」
旭さんがココアを撫でに来た。
手には冷ました野菜料理を持っていて、ココアに差し出してみる。
「キュ?」
ココアは匂いを嗅いで小首を傾げてるばかりで食べようとはしない。
「あら、好みじゃ無かったのかしら?」
旭さんと二人でココアを撫でていると、
「あら、動物もご一緒でしたか?」
ニースさんに見つかってしまった。
「あっ、室内で動物はダメですよね!
外でお世話した方が良いですよね!?」
「いえ。中庭に繋がっている一室があるのでそこにお泊まりになってください。それなら一緒にいられますから。
ただ、本来なら動物厳禁なので、室外での移動の際はカバンに入れてくださいね」
ニコニコしながらニースさんが提案してきた。
「分かりました。ありがとうございます!」
「良かったわね宗也くん」
ココアの頭を撫でながら旭さんにも言われる。
「でも、見かけない動物ですよねえ。何という種類なんですかねえ?」
ニースさんも知らないらしい。
「まあそのうち分かるかもしれないですし、とりあえず3日後の料理対決で何を作るかを決めるのが先ですね」
その時旭さんがニースさんに、
「あ、宗也くんはスキルに
「
凄く便利なスキルだわ!」
「少しだけ回復するスキルらしいけどね」
一応俺は一言付け加えたが、何か燃えているニースさんに聞こえたかは定かでは無かった。
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