第9話 まだまだ実力は足りないようだ
「あれ、どうやって倒す?」
ある程度距離を取りながら旭さんとカラチに相談する俺。
他の男達もトロールから距離を取りながら武器を構える。
「倒すにはかなり骨が折れると思うで!」
弓を構えながらトロールから距離を取ったカラチが喋る。
「トロールって頑丈⋯だから⋯よっと!」
トロールが手を振り下ろす。
大ぶりながらも勢いのある攻撃をかわしながら旭さんも話す。
「何か弱点とか⋯知らない!?」
何かのヒントにならないかと思って道端に落ちている石ころをトロールに投げてみながら俺が聞くと、
「石投げなんてチマチマとした攻撃が通用するか!
図体が大きいから転ばせられたら⋯おっと!」
男の1人がトロールの攻撃をかわしながら切りつけるが、かすり傷しか負わせられない。
「何かで隙を付いて転ばせて⋯せや、アレがあった!」
カラチは手持ちのカバンから巻物を取り出して、
「旭はん、これっ!」
旭さんに投げ渡す。
「これって、炎のマジックスクロール!?
いいの? 値段高いんじゃないの!?」
旭さんは上手くキャッチしてからカラチに確認する。
「高い安い言ってる場合やあらへんわ!
命あっての物種や! 助かる事が第一や!
MP減らんし顔に当てられたら気を削がせられるやろ!?」
弓で矢を撃ちながらカラチが簡単に作戦を伝える。
「ありがと!」
そう言ってトロールに向き、巻物を開こうとするが、
「うわあああー!」
男の一人がトロールに殴られ、遠くに飛ばされ血を流して動かなくなる。
「おいっ!魔法はまだか!」
そう言われたが、その光景を見た旭は足がすくみ、動けなくなってしまう。
「あ、ああ⋯」
「旭さん!」
あまりに怖いのか、俺の呼びかけにも答えられないようだ。
「くっ、これでも!」
俺が近距離で攻撃しようとトロールの後ろに回るが、それに気付いたトロールが宗也に腕を振り下ろそうとする!
「宗也くん危ない!」
その時、旭がトロールに向かって巻物を広げ炎の魔法を放つ!
「グワアアアッ!」
ちょうど放った魔法がトロールの顔面に当たり、痛いのか熱いのか顔を手で覆う。
「今や!」
視界を
俺も
「うりゃあ!」
「そりゃあ!」
残った男達が剣や
「みんな⋯大丈夫でっか!?」
トロールが動かなくなったのを確認し、カラチが見渡すと、
「うっうっ⋯」
「皆で⋯絶対帰るって誓ったのに⋯」
「こいつら⋯街で弔ってあげよう⋯グスッ」
トロールに殺された男の側で仲間の男達が泣いている。
「なんだか、やりきれないわね⋯」
旭さんが呟く。
「ホンマやな⋯ トロール倒しても儲けるどころか大赤字やわ⋯」
「「そっちかよ⋯」」
思わず俺と旭さんがツッコミを入れる。
「また儲けらればええけど、宗也はんも旭はんももっと強うならなあかんな」
「やっぱりそう思う?」
「いつでも巻物頼みという訳にはいかないもんね」
ともかくここで止まる訳にはいかない。
亡くなった人達に手をあわせ、先へ進もうとすると、
「何したんこれ!? こっちにはトロールが倒れとるやん!」
後ろで女性の声がして振り向くと、そこには僧侶⋯というかシスターのような格好をした女性が、こっちとトロールを見て驚いていた。
「おま⋯」
「あんた⋯カラチやん!久しぶりやな!」
カラチと知り合いらしいこの女性。
この人は一体!?
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