第6話 骨をうずめる気はございません
揉め事仲裁に割って入ってきたのは、俺達とはまた別の世界から召喚されてきたケット・シーのカラチ。
「ほな、あんさんらもこのお茶いかがでっか?」
「「遠慮しておきます」」
睡眠薬入りと知っているので俺と旭さんはお断りした。
「まあ、そりゃ知ってて飲まへんよなあ。じゃあこの眠っとる人達運びましょか」
周りの人達にも手伝ってもらって、とりあえずお茶を飲んで寝ている人達を道の端っこに運んだ。
「ふー、鎧を装備しているから重かったな」
額の汗を拭きながら1人つぶやく。
「⋯あんさんらも魔王倒すのが目的なんでっか?」
こっちを見ながらカラチが聞いてきた。
「俺らは⋯」
「とりあえず生き残る事! それが第1目的⋯よね?」
旭さんが答えたが、確認するように俺に聞いてくる。
「まあ、これといってまだ決めてなかったから、無事還る事が大事⋯かな」
同意するように俺も答える。
「そうなんでっか〜、なるほど、名誉とかそういうのには興味無し、と」
そう言ってカラチは何かメモを取っている。
「そういえばカラチ⋯さんはこっちに来て長いのか? 元の世界で冒険者か何かやってたとか? 」
「カラチでええよ。ワテは元々、宝箱の罠外したりダンジョンガイドやったり旅商人したりしてたんや。あっちでは鑑定スキルも持ってたんやで〜」
「でも、こっちではスキル継承とかって出来るの?」
旭さんの質問に指(というより肉球)を動かして、
「チッチッチッ、あまり多くの人は知らんようやけど、実はここだけの話、こっちでも元の世界のスキルは使えるんやで。ほら、ここにカッコで書かれてるやろ?」
そう言いながらカラチは自分のカードを見せてくれた。
そこには、
『スキル︰交渉術(鑑定・罠外し)』
と、書かれていた。
「旅や冒険をするのに向いているスキルだね。ある人の魔力全力投球より」
「ヒドイ! 私にも元の世界のスキルが!」
そう言いながら旭さんは自分のカードを見てみる。
「えっと、スキル︰全力投球⋯カリスマ⋯」
「カリスマ⋯」
「「役に立たな」」
「立つもん! 何かの役に立つもん!」
俺とカラチの呟きに旭さんは即座に反応する。
彼女は隠れスキルにボケツッコミが備わっているのかもしれない。
「⋯まあ、付属スキルみたいに考えればいいのかな?」
そう言いながら俺も気になり自分のカードを確認する。
「えっと、オートヒーリング(小)と⋯料理⋯」
「「⋯こっちで料理屋でも開いて大儲け」」
「しないから! こっちで食堂をやって骨を
何故かこっちを見て目が光っている旭さんとカラチ。
(絶対本気で商売を考えたな⋯)
カラチはカラチで例のメモ帳にまた書き込みをしている。
「スキル活用で回復も出来て大儲け⋯」
「だから商売なんてしないからな!」
その時、動いたからか俺のお腹が減ってきてグーッと鳴った。
「動いたからお腹減りましたなあ。じゃあそこのお店で一緒にご飯でもいかがでっか?
ワテが奢ってあげるさかい。そこで食べながらこれからの事を話しまひょ?」
「「一緒に行く気満々」」
「だな⋯」
「だね⋯」
1人より2人、2人より3人。とはいえ人数が増えればお金もかかる。
それに、まだ信頼も築けていないのですんなりと仲間に入れてもいいとは思えない。
「そうでっか〜、ワテ人見知りやさかい1人でいるの心細いわ〜。ワテだけやと入店断られる事多いし⋯」
寂しそうに振舞って、こちらをチラチラ見ながら独り言を呟いている。
「まあ食事だけなら⋯」
俺は
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