第8話 職業試験7

「ATK全振りしても感触的にさっきまでみたいに次を見通して体力を残すことはできないな...次のボスは無理そうだ...まあ、本気は出していくが」

毒は効かなかった。しかしここまで強化した状態ならば簡単に倒せる。しかし強いな...終盤くらいまでいかないとここまでの量相手にすることなんてないんじゃないか?


「55分経過。さあ、どうなる?」

ボスが登場するのに身構えたその時。


「何じゃお主ら、軟弱者共が。わしの配下にはいらん。死ね。」

...


「お主が新たな... まあ良い。まだ姿のようじゃな」

...間違いない。


「どうした? かかってこい」

こいつは...


「来ないのならばわしから行くぞ。それっ!」


魔王幹部が一人、<選定者>ベルフェゴール・ヴァーサー!


直様応戦する。刀を攻撃の途中に差し込み、速度を殺す。直様ナイフを持ち、跳躍する。

こいつに遠慮はいらない。ただ無心に、ナイフを振るい、身を隠し、急襲し...それが難しそうであれば、銃を使用して遠距離戦に持ち込む。それを許してくれるだろうか? 確か由良が見せてくれた動画の中にこのキャラクターの情報だけがあった。魔王がいるのは分かっていて、それに挑むためには幹部が隠し持つ鍵が必要。その内の半数の居場所は割れているが、残りの居場所がわからない者たちの中にこの姿にそっくりの壁画のものがあったはず。選定者の名の通り、こいつは。しかし<武帝>が出会ったことのないため、これは<武帝>がより強くなれば現れるのではと海鳥は予想していた。しかしクランに所属せず、いつも海鳥と死神とトリオで戦っている彼は自分が勇者だったことを他の者に明かしていない。つまり他の者達には情報がないわけで、壁画から魔王城にいるのでは? などと噂され、全力で探索を挑んでいるというので動画では紹介されていたが...いや、これは違うのか。俺クラスのプレイヤーが出てくるまでこいつは出現しないのか!というかこいつを俺は倒せるのか?いや認められればいい!そうすれば始めるのが遅れているがだとしても...「考え事か? わしの前でとは、いい度胸だ。バカではあるらしいな」!っ!?隠れ場所がバレていたか!!!!!


「<選定の剣>...来い。攻撃をするつもりはない。」

しかし攻撃してこない。選定の剣? 何かのイベントか?


「それを信じるに値する根拠がない。悪いがそちらには行けない。」

流石に信じるわけにはいかない。魔族は残忍かつ狡猾な性格だと海鳥が言っていた。これが罠である可能性も十分にある。というかこの隙だらけの体に傷一つつけられる気がしないのは何かの冗談か...?


「絶対に攻撃はしない。根拠はないが、信じろ」

「ならば選定の剣というものについて説明してくれ。説明を聞いたら考える。」


そして俺の波乱万丈なWBO生活が始まったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る