第4話 職業試験3

「ふむ...ボスモンスは全部一緒なのか?それとも初回だけか?しかし...好都合だ」

時鳥は、ナイフ一本で前進し、目の前に立つ。


「闘ろうぜ?最高に良い戦いをよぉ!!!!」

叫ぶ。ガルム・ファントムは獲物が何かほざいていると思ったのか、ニヤリと嫌らしく笑う。


「ガルルルルルルル!!!!!!!」

笑ったと思うと、急に飛びかかってきた。


ガルム・ファントムの攻撃手段幅は狭い。しかしその代わり厄介な性質を持っている。

・噛みつき

・殴りつけ

・咆哮

・突撃


...そして、<呼び声>。


<呼び声>とは、5回ほどの攻撃の後に使用するようになる技だ。効果は配下の召喚。黒狼や、黒狐。そして黒鳥を召喚する。一部プレイヤーからは「無限戦闘」と揶揄されるほどに頻度が多い。


定石としては5回の間に撃破する、というものなのだが...

「温い!もっと来いよ!」


時鳥は避け続ける。その後も攻撃をせずに五回目を迎えてしまう。

「ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!」

流石に苛立ったと見えるガルム・ファントムは、呼び声を使用する。数十体の配下が召喚されるが...


「<魔法詠唱 水雷混合 旋風>」

そう呟くと、毒瓶を投擲する。毒が混じったその風は...


ガルム・ファントム以外の全てを殲滅した。


「ガアアアアアアアア!?」

ガルム・ファントムも困惑を隠せない。自分自身へのダメージはないが、一瞬で配下が殲滅されたのを見て警戒度を一段階上げる。直様さらに配下を召喚し、攻撃しようとするが...


「ほっ、ほっ、やっ!<魔法詠唱 水雷混合 旋風>!」

その全てをいなし、もう一度配下だけを殲滅する。もう死体が山のようになってしまっている。


そう、時鳥にとっての狙いは死体にあるのだ。

今後、難易度が上がっていくに連れ魔石の回収は難しくなってくると予想した時鳥は、毒のストックのために、そしてここで強化した性能の良い武器を全種類回収するために、魔石を量産していこうと考えていた。


そうして彼はその後の20分間魔石の量産をし続け、新しく出てきたモンスターを秒殺し、多少魔石を消費して毒を確保しながら魔石の量産を終えたのだった。


運営側が頭を抱えたのは言うまでもない。

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