第3話 職業試験2

さて、時鳥が息を整えたり、罠を作ったりしている間に5分間が経った。


次のモンスターは...

「キュウウウウウウウウウウウウウウウ!」


黒狐ブラックフォックス。嗅覚が鋭いらしいからな... というかちゃんと暗殺者ルートに行けたようだ。暗殺者ルートは開拓が進んでいないらしいからな。初心者でも多少珍しいもんになれるだろ。


そんな事を考えながら、先程と同じように、今回は毒の量を少し多くして全員を撃破する。

ここで剥ぎ取りで得た魔石で魔法を確保。魔法は普通のRPGでも色んなことに応用を利かせられるのだから、取っておいて損はないだろう。これ以降は手探りだから、慎重に行かなければいけない。そのためにも遠距離攻撃の手段は持っておいたほうが良いだろうな...


ナイフを研ぎ、息を潜める。


「ガァガァ!ガアアアアアアアアアアアアア!」


黒鳥ブラックバード...これはもう少し先で出てくると思ったんだがな...

「<魔法詠唱 水雷混合 中風顕現>」

魔法を詠唱しながら、毒を投擲する。笑えるほどに鳥が落ちていく。


「それにしても、混合魔法なんて便利な技、なんで皆使わないんだろうな?」

低燃費でアイテムと合わせれば高火力。範囲殲滅にはもってこいである。


時鳥はこんな事を言っているが、実際の混合魔法は異なる。

まずはじめに、混合魔法というのは異なる属性を混ぜ合わせるものである。

どうしたって多少の反発などで、初級魔法に使う魔力が中級魔法の量に匹敵することもざらだ。

この魔力の消費量は、日々の研鑽で減らしていくことができる。


最も、時鳥の場合は少し特殊である。

繊細な作業などは得意な方で、例えば針の穴にそのギリギリの太さの糸を片手で連続して通す、というような神業も簡単にしてのけてしまうほどのリアルチートな技術である。

それもあって、彼は無意識にプレイを始める前に魔法についての動画を見ていたときに最適な混合率を編み出していた。一度もプレイをすることなく。


後は簡単。その混合率で生成することによって初級魔法に使用する魔力以下で中級魔法クラスの威力の魔法を簡単に使用してしまったのだ。後で運営が見てなんだこいつ...なんで小数点以下の所まで無意識にさも当然って顔で当ててきてんだよ...と困惑したのは言うまでもない。


10個の魔石は6個をナイフの強化に、2個を毒に、残りを使用を保留とした。


さて、三種類の魔物を倒した。この時点で15分が経過した。

ボスの登場である。


<獣を統べるもの>ガルム・ファントム。推奨攻略レベルは10。半数のプレイヤーはこの時点で死亡している。正真正銘の強者の前で、時鳥はニヤリと不敵に笑ってみせた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る