第2話 WBOの世界へ

WBO、World Battle Onlineは今や年代関係なく世界中の人々がやっているVRMMOだ。

世界のコンセプトは。私達が思いつくジョブも、種族も、スキルも、何もかもが存在し、難易度が高いものもあるが絶対にプレイヤーも使用できる。例えば...


現世界ランキング一位、<武帝>ファル・アルカディア

<武帝>獲得条件、一定以上の魔物の最速討伐、一定以上の王からの信頼度 等々...


現世界PKランキング一位、キルスコア999(+a)、<狂帝>ヴェルディ・イースティン

<狂帝>獲得条件、一定以上のプレイヤーの殺害、王族又は貴族の殺害 等々...


現世界生産職ランキング一位、世界ランキング7位、<戦理帝>空風

<戦理帝>獲得条件、生産職・戦闘職共に最速レベルカンスト、双方で一定以上の信頼を獲得 等々...


努力さえすれば、誰でも主人公になれる。


これが、このゲームのキャッチフレーズだった。


そして俺、神楽坂尊かぐらざかたけるは、この春このゲームを始めることになった。

こいつのせいで。


「たける!準備できたか?始めるぞ!」

「ちょっと待て!攻略情報くらいは...」

「あ、もう始めちゃった...」


おいいいいいいいいいいいいいいい!?わ、ヤバい、意識が...


そうして俺は、物凄く格好悪く初めてのVRMMOに挑戦することになった。

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「はあ...もうちょっと調べたかったんだけどな...」

ため息をつく。俺はスターターズサーバーに来ていたので、あいつとは違う場所にいる。

幼馴染みで、やると決めたらそれ以外のことが頭から抜け落ちるアホ、橋谷由良はしたにゆら

WBOの世界ランキング一桁常連のトップ勢。職業は<魔導剣帝>。かなり強い。

一桁常連の面子の中では唯一の無所属で、俺と一緒にクランを立ち上げる予定だ。


「こんにちは。私は設定AI ギンガ と申します。WBOへようこそ!」

「やあ。ありがとう。」

「設定を開始します。プレイヤーネームを入力して下さい。」

プレイヤーネームねぇ... よく使ってるあれでいっか。

時鳥ほととぎすでお願い。」

「承知いたしました。職業試験を開始します。転送します...」

来た。職業試験だ。


職業試験とは、WBOの世界ではゲームをする上で一番大切な要素だ。

試験の内容は、<モンスターの攻撃から生き残り続けよ>。Lv.1の体で、最初に貰える武器を一つだけで始めは序盤のモンスター、ゲーム内時間で一時間を超えると終盤のモンスターなどから攻撃され続ける。

現在の最長記録は武帝ファルの45分21秒。帝王系統の職業を手に入れるには30分以上生き残らなければいけないそうだ。生き残るための方法は避けるでも、受けるでも、倒すでもなんでも構わない。5分間で次のモンスターがポップし、それ同士で殺し合うこともあれば、協力してプレイヤーを攻撃してくることもある。倒した場合は次のポップまでにステージに隠されているアイテム等々を探すことができる。ステージは森林。これに関する攻略情報を読んでいたときに無理やりこっちに来てしまったのだが...


「ギャウ!」

黒狼ブラックウルフの群れ...俺は直様木を登り、彼奴等がスキを見せるのを待つ。

「やっぱり最初の選択は毒とナイフが最強じゃねえかな...」

あいつらが標的の俺を見つけられず、まんまと俺が隠れている森の真下まで来た瞬間、毒を投下する。

「ギャ!」「ざまあ見やがれ」

そいつの悲鳴に誘われて来た奴らを同時に相手取らないように一体ずつナイフで斬り裂いていく。30秒後、全個体の撃破に成功。ここまでで57秒、直様素材を剥ぎ取りもう一度木に登る。


職業試験において、魔物の素材は基本的に次のような使い道がある。

1つ目に、武器の強化。

全ての魔物が有している魔石を使用することで、武器の性能の底上げができる。

最大の強化幅は10。その時点で不壊という武器スキルが獲得できる。さらに、ここまで強化するとさらに50個の魔石を消費してこの武器をプレイ開始時に所持した状態で開始できる。

時鳥が選んだ毒なんかに関しては、性能が上昇したものを12個獲得することができる。

時鳥は24個を魔石を消費して獲得し、残りの4つをナイフの強化に今回は回した。


2つ目に、新しい武器の獲得。

文字通り、一つを消費することで新しい武器を獲得できる。


3つ目に、魔法の使用解禁。

10個を消費することで、魔法の仕様が解禁される。

最初は基本属性の炎、水、雷。特殊属性の光と闇はさらに5つ消費することで解禁される。


さて、時鳥が息を整えたり、罠を作ったりしている間に5分間が経った。

次のモンスターは...

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