世界に命を狙われるタカサキユキヤ。
第11話 上田勝子。
6回目のファンタージ。
開始前に何が起きたかを女神様に聞いたら、それはもう防ぎようが無かった。
俺を殺したのは
誰だそれ状態だが、聞いてみると今までは弟に生まれてきていた勝利の代わりに時間の乱れで生まれてきていた存在だった。
俺を早々に捨てた髙﨑愛子は早々に上田勇気と出会い結婚をして子供を産む。
その子供は男児ではなく女児で名前を勝子としていた。
勝利は言われるままの操り人形だったが、勝子はアイツ以上の危険人物で、アイツらに搾取されてきたが、親を溺愛しているので無自覚の鬱憤なんかは全部周囲に向かう。
周りに見つからないように淡々と弱いモノを痛めつけてきた勝子は、医療ミスでなら人を殺せるからというありえない理由で看護師になっていた。
勝子は俺の婚約者だった上野桜子が近々寿退職をする話と、その結婚相手の俺が入院した事で、「とりあえず殺す事にした」という理由で俺に入れる点滴をわざと間違えて殺してくれていた。
「…なんで勝利だと10離れてるだけで済むのに、勝子だと5歳の差で俺の人生に関わるんですか?」
「まあ因果律が変わってしまって、世界が補正したとしか言えませんよね。出会ったこともない妹の手による殺人はやはり非業の死ですよね」
女神様はだからファンタージだと言い出した。
だが正直今以上の結果って無理じゃないか?
そう思った俺は「もう良いんだけど」と口にした時に表現不能の恐怖に襲われた。
「タカサキさん?チャンスの女神としてそれは認められません。本気ですか?」
気持ち悪い圧を放つ女神様に、「今以上がある風に思えないし」と言ったが、「チャンスを諦めるなんてダメです」と返される。
だがその目は普段のキラキラした目ではない。ギラギラとした危険な目つきに俺は戦慄して「わかったよ。行きます。行けば良いんでしょ」と言った。
女神様はすぐに表情を戻すとニコニコ笑顔で「はい!では次の特典は何になさいますか?」と聞いてきた。
コレも実は考えていた。
「瞬間移動の能力」
「え!?」
「え?ってなんですか?」
「やめませんか?」
「嫌ですよ。ファンタージは移動だけで大変なんですよ?」
俺の言葉に諦めた女神様は、「わかりました。クリア時に付与します」と言った。
「何でクリア時?」
「マンネリ化を防いで!無駄な時間稼ぎをやめたファンタージを体験してもらいたいんです!」
うわ…。
腹減ってないのに作ったから食べろみたいな事を言い出したぞ。
「前のファンタージにダメ出しをしたタカサキさんの意見が必要です!」
「他の人の意見はあくまで他の人だと…」
「はい!なので行ってきてください!!」
俺はコレだけでファンタージ送りにされた。
6回目。確かにダンジョンは時間稼ぎではなく冒険になっていたが、まだ単調でキツい。
失われた聖都に行く用事が無かったのに、魔王城を覆う闇の壁を除去する「七光」という虹色のオーブを取りに行く必要を追加しやがっていた。
ああ、はじまりの町にあった精算教え女の親父がロンジクに殺されてたな。
やべぇなロンジク。
まあ逮捕されたらしいけど、なんかこういう広がりとか奥行きは良くなったと思う。
そして女神様は一応やる事はやっていた。
町や村を馬車の定期便で繋いで移動時間を軽減させて、失われた聖都からの戻り道も地図を販売する事で一年くらいで外に出られるようにしていた。
それ以外は変わらなかったので、俺は3ヶ月でファンタージをクリアした。
「おめでとうございますタカサキさん」
「どうも」
「どうでしたか?」
「まあ悪くなかったですね。ロンジクの話もファンタージに深みが出た気もしますよ」
「ありがとうございます!」
「じゃあ次は無いと思いたいけど、次は瞬間移動をよろしくお願いしますね」
「はい!」
この言葉で俺は7度目の人生をやり直す事になった。
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