第6話 両親。

担任は「全部鷹咲幸也が悪い」とやらかして、両親と取り巻き8人の両親を呼んで、公開説教にプラスして、公開謝罪を要求してきた。


呆れて遠い目をした俺の目には、頑張って下手に描いた動物園の絵が見える。

担任の「よくできました」が憎い。


まあこれも守護霊的なアレだろう。

俺からすれば雲泥の差だが、普通からしたらまだ足りない。


普通の両親から生まれた連中はどんだけ恵まれてんだ?と思ってしまう。


とりあえずツッコミどころ満載の担任の供述。

8人相手に喧嘩を売った俺は、8人を口で泣かせて、更にガキ大将を殴ったと言うものだった。


他にも目撃者がいるのによくやるよ。

真っ青の父と母。


これみよがしに、拾った子だからと悪態をつくオークそっくりのババアと、同調するスケルトンみたいなババア。

「やめてください!そんな事を子供の前で言わないで!」と泣いて止める母親は、俺を抱きしめて「幸也は聞かないの!聞いちゃダメ!」と涙ながらに言い続けていて、父親は「この場は何ですか?」と戦闘モードに入っている。


そして周りのニヤニヤに俺はキレた。


左頬に痣のできたスケルトンババアの息子、ガキ大将に向かって「なあ、どっちから話しかけた?」と聞く。


ババア達がいくら連帯してきても子供にその知恵はない。アドリブを振られてあうあうしながら周りを見てるガキどもは、親の制止が間に合わずにキノコお化けとタケノコお化けみたいな髪型のガキが「友太郎ともたろうくん」と言ってしまう。


俺が「そうだよね。俺は砂場で砂遊びしてたよね?」と聞くと、タケノコお化けの方が「うん。友太郎くんにあっち行こうって言われたから砂場に行った」とゲロった。


俺はそこだけで終わらせずに、壁際で俺たちを見守る別の保育士に「先生、砂場セット借りに行ったから、砂場にいたの知ってるよね?」と聞くと保育士は頷く。


このタイミングで父親が「先生?うちの幸也が8人に絡んだという話だったのでは?」と突っ込むと、担任は「あれ?見間違い?あるぇ?」としらばっくれた。


「お父さん、見間違いなら先生の「見た」をお父さん達は信じなくていいの?」


俺のパスに父親は俺の目の前にきてしゃがむと、「そうだね。そうでなくてもお父さんは幸也の言葉を信じるよ。何があったか教えてくれるかな?」と聞いてくれる。


ナイスパスだ。


「砂場で富士山作ってたら、あの子達が来て俺に「拾われた子なんだってな」って言ったんだ」


俺がガキ大将のスケルトン息子を指さして言うと、教室の空気が一気に冷え込むし、母親は更に泣くし、父親は人殺しみたいな…ファンタージでは散々見てきた人殺しの目でスケルトン息子を睨む。


そして間髪入れずにキノコタケノココンビに「ね?」と聞くと「うん」と頷いた。


父親は魔王も殺しかねない気迫で立ち上がると、「子供になんて事を教えて、何を言わせているんですか!?」と怒鳴る。


おぉ、頑張れ!


俺はこのタイミングも見逃さない。

更に泣く母親の前に行って、「お母さん、泣かないで。俺はお母さんと、お父さんの子だよね?拾われてないよね?」と何も知らないふりで聞くと、母親は泣きながら俺を抱きしめて「勿論よ!」と言う。


「でももしあの子達の言う通りでもいいや」


俺の言葉に「幸也!?」と聞き返す父と母。


「だってお父さんとお母さんが好きだし、仲良しだから気になんない」


この言葉で父親は感涙しながらももう一段上の殺意みなぎる顔でスケルトン両親を睨みつけた。


まあアイツらと比べるのも申し訳ないが、本気で別次元の扱いだから感謝してます。

中身がこんな捻くれジジイで申し訳ない。


この先も言い返したら泣いた事を詰められそうになったが、「俺が言われっぱなしで泣けば良かったの?」と聞くと、父親は「そんな事はない!」と言った後で、担任に詰問する。


だが負けていない担任は、結局拳を放った俺が悪いと言い出したが、殴りはじめはスケルトン息子な訳で、それこそ砂場遊びを見ていた保育士に、「先生、先生は俺たちに嘘はいけませんって教えてくれたよね?俺は嘘ついてないよ」と聞くと、保育士は陥落し、一部始終は俺の言う通りだと供述してきて、担任含めた全員が頭を下げてきて終わった。


まあこんなアホらしい世界があるなんて知らなかったが、担任は地元出身で、スケルトンやらオークやらと友達で、動物園の絵で絵が得意?なスケルトン息子が俺の絵のせいで目立てなかったから仕返しすると言ったスケルトン母に付き合ってしまっていた。


まあ園長まで出てきて騒ぎが大きくなったから、ウチじゃなくてお前がグッバイじゃ担任と言う事で担任は秋なのに園を去る事になった。


まあこの後は大変だった。

園長の握手で仲直りと言われて俺は拒否をした。


「よく知らないのに8人でイジメに来た子と仲良くとか怖い」


この言葉に父親は鬼の形相で、「そうだ!息子を子供扱いしないで貰おう!」と言って終わらせる。

ただ、ガキどもは何を思ったのか、それ以降「一緒に遊びたい」とか迫ってきて辟易した。


そして父母だが頼んでいない玩具やご馳走。鷹咲と御崎のジジババまで出てきて旅行まで行く騒ぎになった。


家族の親睦は風呂だ!と言い出した母親のせいで3人で風呂に入る羽目になる。

断ると本当の親じゃないからと涙目フィーバーになる母親。

違うんです。80歳に28歳の裸は刺激が強いんです。


「お母さんは女の人だから裸見られたら恥ずかしいヨォ」と言うと、母親は笑いながら「オムツも取り替えたのよ?恥ずかしいとか無いわよ」と言われてしまった。


だがまあこれで俺もいよいよまともな人生を歩める。

ありがとよチャンスの女神様。

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