第6話

この姿になってから、私が声を上げて泣いたのは、

自分が息を引き取った、あの日の夜だけだ。


あの日の夜に、テレビから聴こえてきたのは、

あの子が好きなアニメの主題歌だった。


あの日は、このアニメの映画公開日だった。


静かに流れる音楽も、歌詞も、

何故だか、私の気持ちを彼らに伝えてくれているような、

不思議な気持ちがした。


側にいたいよ


そんな内容の歌詞に、彼らは聞き入り、2人で泣き出した。


そんな2人の側で、私も一緒に泣いた。


私も側にいたい。

ずっと側にいたかったよ。

家族3人、たくさんの涙を流したけれど、一番大泣きしたのは私だった。


彼らに気付かれることなく、私は2人の側で、声を上げて泣いた。


この映画、3人で観に行こうねって約束していたんだ。


映画を観に行く約束をした時の、あの子の嬉しそうな顔を思い出す。


ごめんね。

約束を守れなくて。


ごめんね。


当たり前に、続くと思っていた日常生活は、

死という形で、突然に終わりを告げ、

私は、もう、

彼らと一緒に、当たり前の日常を送ることは出来なくなってしまった。


こんなに側にいるのに、私だけが、此処にいない。





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