第4話

疲れた

眠い

お腹が空いた


そんな感情すら残ってはいない。


ただ、もし出来れば、少しだけ、そっとしておいて欲しい。

もう何も考えたくないし、誰とも話したくない。


そんな気持ちを、胸の奥へと閉じ込めて、

告別式までは、どうにか乗り越えなければならない。


喪主という役割は、とてつもなく辛く、苦しい。


泣きながら選ぶ遺影の写真


平然を装って対応する電話


私に会いに来てくれた方々への対応


当日まで続く告別式の打ち合わせ


私のために対応してくれている彼に寄り添って、私はずっと、彼の隣にいた。


「今朝、妻が亡くなりました。」

これは、私が息を引き取った日に、何度も彼に言わせてしまった台詞。


感情を込めずに、淡々と告別式の日程を知らせながら、

ギュッと握る拳に、胸が痛くなった。


日中は、様々な対応に追われ、

少しだけ、気を抜けるのは、日が暮れてからだった。


彼とあの子は、日が暮れると泣いた。


私は、黙って2人を見守りながら、彼らが涙を溢すと、その頬を拭った。


『泣かないで。私は、ここにいるから。』





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