第3話「いじめ~親殺しの」
りんはクラスメイトや、教師に助けを求めたが
巻き込まれるのが、面倒なのか。誰も、相手にしなかった。
「どうして? みんな。姫菜ちゃんがいじめられているのに」
りんは、校内を走って頼りになりそうな人物を探した。
その頃、購買部では。
「すいません。これください」
黒蝶は、購買部のおばさんからカフェオレ。焼きそばパンとコロッケパンを昼食用に購入していた。
そこにりんが飛び込んできた。
りんは、息を切らして黒蝶の両肩を掴んだ。
「黒蝶くん。姫菜ちゃんを助けて!」
「確か……。君は同じクラスの」
「空色りんです! 朱井姫菜さんの後ろの席の」
「どうしたんだ。そんなに慌てて、先生は?」
「先生も、クラスの人も誰もっっ! 本気にしてくれなかった。」
「姫菜ちゃんね……新田さん達から、目を付けられていて。お願い!黒蝶くん。姫菜ちゃんを助けて」
黒蝶はりんと急いで、体育館裏に向かった。
◇◇◇
「あんた、生意気なんだよっ!」
新田が姫菜の頬を引っぱたいた。
「ってー! なにすんのよ」
姫菜は新田を睨んだ。
「ああ!? なんだ、その目。ほんとムカつく――!! 親殺しのくせに!!!」
その言葉を聞きカッとなった、姫菜の右手が光を帯び始めたその時。
姫菜を蹴ろうとした新田は、誰かに足払いをされて一瞬でバランスを崩し、すっころんだ。
「痛てー! 何すんだ。てめっ……」
新田が見上げると、黒蝶が腕組みをして見下ろしていた。
「親殺しって、なに?」
黒蝶はにこにこしているが、その笑顔が黒く、妙に迫力がある。
「あ、あっ……。黒蝶くんっ!」
新田は、憧れの黒蝶に決定的な現場を見られて顔を真っ青にして、ぶるぶると震えている。
その場から逃げ出そうとしたが、黒蝶はその腕を強く掴んで引き留めた。
「あのさァ……確かにこいつはちょっと、変な女だけど。やり過ぎだと思うぜ?」
「つっ!」
新田は泣き出しそうな表情をすると、手を払い。取り巻き二人と一緒に逃げて行った。
「姫菜ちゃん、大丈夫!?」
りんが、姫菜に慌てて駆け寄る。
「あっ、りん! 大丈夫だよーっ」
姫菜は、りんに心配を掛けないようににへへと笑う。
「良かった!」
「って、なんでコイツがいるのよ!」
黒蝶に気が付いて驚く姫菜。
「いまさらかよ! どんだけ、トロいんだコイツ!?」
呆気にとられる黒蝶に、むかっ腹が立つ姫菜。
「あんたに何か、お礼言わないからね!」べーっと舌を出した。
その一方、笑顔で礼を言う、りん。
「黒蝶くん。姫菜ちゃんを助けてくれてありがとう」
「おう……」黒蝶はちょっと照れた。
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