第32話 いかれた日常を紹介するぜ!
こんにちは!
塩平千歳です!
旅籠芸術大学の芸術科に在籍して、日本画を専攻しています!今年で3年生になります!
まだまだここら辺は春の麗らかな季節が続いています。
本当に小西荘の周りは美しい花々がたくさん咲いていて初めてその光景を見た時はここは楽園か…?と思ったほどです。
小西荘の周りを歩くだけでもざっと少なくとも10種類以上の植物や可愛らしい花たちがいます。
私は春がとにかく大好きなので一生続いてくれたらなぁって思っちゃうこともあります!あ、だけど雪も見たいから一生春が続くのも少し困るかな…?
まぁそれは置いといて…おっと、誰かやってきました!一番最初に居間にやってきたのは小西荘の管理人、オーナーである小西成坂さんです!
もうずいぶん髪を切っていないのでしょうか?肩くらいまである髪の毛を後ろで束ねています、髭もうっすらと生えているようです。まさかこれが私と同じ歳の20歳だとは誰が想像できるのでしょうか?
ゆったりとしたパンツにボーダー柄のシャツをだらしなく羽織っている姿はどことなくカリスマ性を感じさせてくれます。
「え?千歳、お前朝から何やってるの?」
むっ!私が一生懸命に紹介していると言うのに成坂さんは非常につれない男です。
「——好きにしろよ」
「あ、暇だったら他のみんな起こしてこいよ」
どうやら成坂さんは私の行動にいちいち興味すら示してくれないようです…
ていうかみなさん、聞きましたか?今の言葉!今のこの私!!暇そうに見えますか!!!?????
嗚呼、なんて世の中は非情なのでしょう…硬い意思のあるものが冷たくあしらわれてしまう…嗚呼無念…
と言うことで、成坂さんはごはんを作り始めてしまいました。流石にお邪魔だと思うので話しかけておくことは自重しておきましょう。
ていうか、小西荘は朝食はセルフサービスになっています。
テーブルの上にはパンが何枚か、そして、即席のスープの袋が何個か置いてあるだけの非常にシンプルなんです!
まあ別に成坂さん的には他にも何か作りたかったら勝手に作ってくれといったスタンスなのでしょう。フライパンや鍋などの一通りのキッチン用具は常に綺麗に揃えられています。
あ、別に成坂さんが使っていないって意味じゃないですからね?成坂さん、ちゃんと夜ご飯は作ってくださいますからね?非常に美味しい料理を!
それじゃあ、成坂さんはは何をしているのでしょうか?
答えは軽食作りです!
ほら、小西荘には唯一のスポーツができる女の子、伊東司ちゃんがいるじゃないですか!
彼女のためにちょっとした軽食を作ってくださるようです!
どれどれ…?
ふむふむ、なるほど、司さんは塩昆布が好きなのでしょうか?なかなか渋いチョイスをしていますね!
もっとも、私は大学に行く直前まで寝ていたりするのでのんちゃんの食べかけの食パンとかスープをくすねることもあるんですがね…
さて、成坂さんが5時に居間に降りてきたのですが続いては誰が来るのでしょうか?皆目見当もつきません!
なぜなら小西荘、成坂さんを除く全ての住人の辞書には『朝に強い』という言葉は乗っていないからです!
さあ時刻は午前6字を回ったところです!トントントンという軽い音を立てて廊下を歩く音でもうわかるはずです!!この小西荘で誰よりも軽い女の子のはずだ!音だけでもはやご飯2杯はいけちゃう!!!廊下には金木犀の甘い香りが通るだけで香る気がします!!
レンジャク トギ!!!!!!!今日も可愛いね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「え?」
「だ、大丈夫なんか今日あるの?千歳ちゃんこんな早くに起きるの珍しくない?」
ひ、ひどい…あの可愛い可愛い連雀ちゃんですら私の真の能力を過小評価してしまっているようです!本当は私だってなんでもできるんですからね!
連雀ちゃんはいつも
さて、この可愛くて少なくとも小西荘全員の憧れ的でもある連雀ちゃんはどんな朝食をいただくのでしょうか?
「——ち、千歳ちゃん…ちょっと近い…」
無理です!!これ以上離れることはできません!少なくとも私にはこの美しい魔法を全力で守る義務があります!
この魔法は誰にも取らせるわけにはいきません!小西荘だけの専売特許なのです!
さて、連雀ちゃんは何を食べるのでしょうか?
なるほどなるほど、オーブンで程よく焦茶色になった半分の食パンにバターと苺ジャムを塗って食べるそうです。
飲み物はホットミルクを飲むようですね。これも何かしらの美容に効果的なのでしょう!
典型的な朝食のはずですが彼女が食べるだけで全く持って雰囲気が180度ひっくり返ります!
あの煩わしくて、はてしなく忙しい朝の時間帯が優雅で全体的な幸福度を確実に上げてくれるような、そんな幸せに満ち溢れた食事になるのです。まさに『幸福な食卓』とはこのことです!
話は逸れるんですがなんで朝の時間ってあんなに忙しくなってしまうんですかね?
私は余裕を持って朝起きたとしても常に遅刻ギリギリのラインで講義に出る羽目になってしまいます。
「——え?なんでって?うーん……もっと早く起きるとか、夜寝る前に少しだけ準備を済ませておくとかかな?」
「ていうかそもそも何この質問?脈略あまりにもなさすぎじゃない?」
なるほどなるほど…連雀ちゃんは『準備』という新しい概念を私にくださいました。
「は?」
「え?俺も答えなきゃいけないの?」
成坂さんは見ていたタブレット端末を置いて少し真剣に考えるそぶりをする。
「…………根本的に自分にとって余裕の持てないような計画を立てるからじゃねえの?」
成坂はさっき淹れたコーヒーを口に含んでからこう言った。
「もう俺らも大人なんだからさ、自分の能力を客観的に見なきゃダメじゃねえの?」
くぅ〜〜〜〜〜〜〜!!これには流石の私もぐうの音すら出せません!非常に的をついた一言な気がします!
おっと!またバタバタと言う騒がしい音を立てて誰かが降りてきたようですね!
司ちゃんなのか、はたまたのんちゃんなのか…どっちなんでしょう??
次に起きてくるのは誰なのか!次回に乞うご期待!
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次回の更新は3月2日もしくは3月9日になります…………多分…
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