第14話 4人でお出かけ! 3

「もう直ぐですね」


 ここら辺の土地に唯一詳しい連雀が結局小西荘から1番近いドラッグストアに案内した。

 そもそもドアラッグストアにバスタオルなんてあるのかすら怪しいがとりあえず行ってみることにする。


「本当にここにバスタオルなんて売ってるかしら?」


 法梅が怪訝そうに聞く。


「この前来た時にはありました!」


 自身たっぷりにそう答えたのは連雀だった。


「ほんとに〜?」


 法梅が疑って聞く。


「…多分?」


 連雀は小さい声でただそう答えた。


 ○


「あ!のんちゃん!あった!」


 千歳は自分で見つけたことに大いに喜んでいた。

 商品棚のかなり下の方にいくつかのバスタオルが陳列されていた。


「ほんとだ!よく見つけたわね!」


 法梅はその千歳の仕事ぶりに賞賛をする。


「とりあえず4つ買えばいいのかな?」


 その棚にはバスタオルが5つあった。


「うーん、とりあえず予備も含めて5つ買っちゃえばいいんじゃない?」

「別に私のお金で出すわけじゃないし?」


 法梅は成坂からもらった2万円を思い出す。


「ありましたか〜?」


 隣にやってきたのは連雀と司だった。

 カゴの中にはペットボトルと数種類のお菓子があった。


「あったわよ〜」

「千歳が見つけてくれたわ。私ここら辺何回も探したのに全然こんなとこにあるのわからなかったのよ」


「すごいっスね!千歳さん」


「あ、ありが…と」


 千歳は顔を真っ赤にしていた。


「んじゃー連雀ちゃんたちも必要なもの買えたかしら?さっき成坂にお金をもらったからそれで全部一括で払っちゃおうと思ってね」


 法梅は財布をポケットの中から取り出してレジの方へ歩き出す。


「おぉー!成坂さん意外と金持ちなんすかね?」


司が意外そうな表情を浮かべてる


「さぁ?私たちに金持ちアピールしたいだけなんじゃないかしら?」


法梅はすこし不機嫌になって店員にお金を渡した。


 ○


 ドラッグストアからの帰り道、もう陽も傾いている道を4人で歩く。


「皆さんはなんで小西荘を選んだんスか?」


 ふと連雀が気になってたことをみんなに聞いてみる。


「うーんと…私と千歳ちゃんで2人で住んでた学生寮がこの近くにあるんだけどね?そこがここら辺で一番安かったの。けれどその寮っていうのがかなりオンボロでほんとに至る所で雨漏りするし、週に何回かは停電するしで、本当にやばい感じのアパートだったの。周りのみんなも『そんな危ないアパートはやめろ』ってずっと言ってくるの」

「だけど結局そのアパートは取り壊すことになっちゃった。それで、新しい引越し先を調べてたんだけど、たまたま運よく見つかったのが小西荘なの!前に住んでたアパートよりかはまあまあ高いけど食事代とか光熱費とか全て考えるとかなり破格だって気づいたの」

「それで私と千歳はすぐ小西荘に即決って感じかな?」


 法梅はここに住むことになった経緯を説明する。


「でもなんでそんな安いところにこだわるんですか?」


 後ろにい千歳と一緒にいる連雀が聞く。


「まぁ色々あるの。大学に進学するときなんかほぼ家出みたいな感じで出てっちゃったし…」


 法梅は目を軽く閉じて手を胸の前でやさしく握る。

 その姿はまるで自分自身に『自分は大丈夫だ』と心の中で御呪おまじないをかけているようであった。


「司ちゃんはなんで小西荘にしたんですか〜?」


 後ろにいる連雀が聞く。


「うーん …私は少し変わってて、祖母の影響なんスよねぇ」


「え?おばあちゃんの影響?」


 連雀が考えてもいなかった人物が出てきて少し驚く。


「そうなんすよ。実はあそこの小西荘って多分かなり昔からやってるスよね?」


「うん!私が小さい頃はなるくんの祖父母と母親がやってたから、少なくとも16年はやってるね?」


 小西荘にいちばん詳しい連雀がここは私の出番だと言わんばかりに答える。


「ですよね?実は私の祖母もあそこの小西荘に下宿してたらしいんスよ〜」


「「「えぇぇぇええーーー!!!」」」


 三人全員が同時に同じような反応をしてしまったので司は少し笑ってしまう。


「ちょ、ちょっと皆さん!声が大きいっス!」


 近くを歩いている人が彼女らのを見る。


「ご、ごめん!ついびっくりしちゃって」


 連雀が驚いたままの表情で答える。


「先月くらいにここら辺のいい下宿先を探してたんスよ。けどね、なかなか自分にとってなかなかグッとくる物件がなくて…それで祖母がふと思い出したように小西荘を案内したんスよ。そしたら祖母が急に小西荘を猛烈に私にお勧めし出して」

「まぁ別にそこまで住むところにこだわったいなかったしさっき言った通り別にこれといった自分にとってのいい物件がなかったんで祖母のおすすめ通りの小西荘にしたわけっスね」


「おぉー、じゃあほんとに司ちゃんのおばあちゃんのおすすめがなかったらここにいないわけだ?」


 法梅が感心したように聞く。


「そういうことになるっスねぇ〜」

「いや〜、でもほんとに、まさかこんな風になるとは思わんかったっス。自分、一緒に住む人とかぜんぜ想像できなくて、あんな半分いわくつきの下宿先に行く人たちなんて、てっきりもっと訳ありのやつらと勘違いしてたんでほんとに皆さん、優しそうな人でよかったっス!」


 司は優しい笑みを浮かべた

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