第8話 トモコ攻略

 トモコの弱点を探すことにした竹岡であったが、弱点はすぐに見つかった。それは構える時の歩幅が狭く、打つたびに広い歩幅にかまえ直しているのだ。


 本来、MMAならばよっぽどレスリングらしさが残り過ぎている場合を除いたら肩幅に構え、上から見て前足後足で時計の3時を作るのがオーソドックスなのだがそれをしていないのだ。


 これはフィジカル、パワーで技術の差を埋め合わせているからであろう。だが、この弱点を知っていてもそれで勝っているんだからどうしようもない。


 竹岡は試合に見飽きてトモコが出演した体育番組を視聴することにした。番組中でトモコにはある特徴があると竹岡は気付いたのだ。


 それは再スタートというのにトモコは弱いのだ。


再スタートというのは人間は止まった状態から動くときに多くの体力を要することに由来する。


例えばシャトルランでは幾度となく20m走と再スタートを強要されるため、同じ距離、タイムでもシャトルランの方が苦しくなるのだ。


また、トモコのシャトルランの記録もマラソンに比べると悪くかろうじて筋肉芸人に勝つぐらいであった。


 これを受けて竹岡が目をつけたのが、試合ルールについてだ。


トモコの主戦場であるMMAというのは団体にもよるが寝技があるので1ラウンドあたりの時間が基本的に長いものの、1試合のラウンド数は3ラウンド程度と短いのだ。


 つまり、再スタートの回数が少ない為に再スタートというダメージに弱くともMMAならば対応できるということだ。


 竹岡の見つけたトモコの弱点は3つである。


・かまえのバランスが悪い

・技術が不足している

・再スタートに弱い


 また、これらの条件からトモコに勝つための攻略法は


・トモコとラウンド数の多いルールで戦う

・再スタートでダメージを負いづらい体作りをする

・致命傷を負わずに判定勝ちを狙う


の3つである。

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