第7話 大江戸流再建へ

 身を引く覚悟を決めつつあった日々だったが、教えを乞う女が来た。名はミチコである。

「別に頼んでくることは構わないが、頼む相手がアマチュアということは忘れないでおくれよ」

彼女は最近ではメインイベント、つまりトリをやっている選手だ。

 彼女の熱意は確かに目を見張るものがある。しかし、相手を確実に間違えている。教えるにも我流まじりの水増しの基礎をプロフェッショナルに伝えるなんぞは恥ずかしく、出来やしない。

「また、連絡をするから」

押し負けてした約束通りに連絡をするにしても、いったいどうやって返せばよいのか途方に暮れてしまう。誰かコーチを雇うにも誰を雇えば良いかわからず、トレーナーならば彼女のジムに立派なのが居るはずだ。

 喉がイガイガするまで考え、「トモコ選手の研究をするから普通に練習をしておいてくれ」と連絡した。

 

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