第6話 さらば大江戸流

 アドレナリンが切れてくるとどうやら鼻が折れ、鎖骨も折れ、顎にはひびがあり筋肉は悲鳴をあげている。

「これは酷くやられましたね、不幸中の幸いといいますが鎖骨は完全に折れているのでひびよりは理想的でしょう。まぁ当面は、わかっていますよね」

安静にしてろと言われた。古ぼけた医務室の中で割れた耐火ガラスの扉を開けてロッカーに荷物を取りに行くとロッカールームには仲間がいた。

「お前女なんかに負けやがって」

仕方がないということは理解している。しかしながら、先ほどの試合の予熱が別の熱として込み上げるのを隠せはしなかった。

「あー冷めたわ、こんなに弱えとは思わなかったわ。帰ろ」

怒りを見せれば、そいつの取り巻きが煽り性能がどうてらこうてらと、どっぷりネットの悪しき集落に浸かった言葉が出てきた。

 破門を言い渡すがもうどうでもよいという態度で大江戸流は自分一人になった。

 この身体では当分は何も運べないだろうが、幸い諸々の免許はあったから食い扶持には困らない。もう、いい歳だから悪友と決別してしまい妹のような誰もが口を出そうとはしない立派な身分の為になろうと動くべきだろうか。

 この日の酒は妙に酔えず、煙草を吸おうが圧迫感を感じるばかりだったのを覚えている。晴れ舞台だったから録画をしていたが、むかつきを抑えられ無かった。硝子の灰皿で頭を潰された煙草から細い煙が立ちのぼる。

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