第3話 地下格闘技団体大江戸流
錆の目立つ金属の足場を運ぶ男達は夜になれば愚連隊である。
「シャッ!おい竹岡、今日は顔面禁止でボクシングルールな」
32歳で焼き切って諦めることのできず続いてしまっている竹岡の悪友達との格闘技の夢はまだ燻るばかりで燃えはしなかった。
右ボディブローが入りうずくまる仲間を竹岡はさっきまで飲んでいた酒のロックアイスの番残りで冷やす。
冷やしながら、手の熱を奪われていることを実感しつつ意味もなく東京の空を眺めた。自分たちで大江戸流を立ち上げて何年経つのだろうか。
思えば筋肉芸人が地下格闘技企画で愚連隊に声をかけて仲間がちらちらとカメラに写っていたあの頃が自分たちの全盛期だったのではないか。
今の身体を見れば、酒やら煙草を吸って仕事で少しばかり金銭的な余裕ができればその金はその場その場の道楽に消える。竹岡には妹がいたがとっくに公務員になり、金持ちではないだろうが誰もがこれといって咎めるような点のない女になっていた。
鼻筋の先に僅かに写っていた煙草の火種を揉み消して、モヤを手で払うといつもより興奮した仲間から竹岡は名を呼ばれた。
「おい!あかつき放送のプロデューサーからメールが来たぞ」
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