第3話 カルフェ王の憂鬱
15年後、異世界ワララド王国。
玉座に座ったエルフの国の王、カルフェ ワララドが、憂鬱な顔で考え事をしながら、「何故続けざまに。」とつぶやく。
すると家臣が近寄り、「ヨヘイ魔導士長がご報告したいことがあるとまいっております。」と伝えると、王は、「そうか。通せ。」と告げる。
ヨヘイ魔導士長は王の前で膝をつきお辞儀をし、「王様におかれましてはご機嫌麗しく。」と言ったところで、王が「残念ながら麗しくない。挨拶はよい。早く報告をしてくれ。」と遮った。
「失礼いたしました。それではご報告いたします。残念ながら姫様のご病気は、やはり半年前に亡くなられた王妃様と同じでございました。」
「そうか・・・何とかならないのか?」
「はあ、王妃様にもできるだけの事を試みたのですが、残念な結果となってしまいました。ただ、え~ただ、一つだけ可能性のある方法がございます。」
「それはなんだ、早く申せ。」
「はい。私は前の世界で事故により死亡し、たまたまここでの魔法実験に共鳴し、この世界に転生してやってまいりました。その影響から、この世界と前の世界との間にはまだゲートが存在します。ここ十年ほど王様の元、そのゲートについて研究を続けてまいりましたが、私と逆の転生を行うことが可能です。そして前の世界、日本には私の家族がおりますので、姫様を託すことができます。
もちろん違う世界に行くことになりますので、もう会うことはできなくなりますが、私が以前から開発しております魔法道具ケータイが上手くいけば、声を聞き話すことは何とかなるかと思います。」
「そうか。」と王は言って、玉座に深く座り直し、腕を組み、右手であごひげをさわりながら考え始める。
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