第2話 吊り橋効果

ここは地元でも有名な心霊スポット。

昼間でも怖いのに夜はもっと怖い。

バイク停めて近くまでみんなで歩いて行ってみる事にしたんやけど、怖くて行きたくない。


「ほら、行こ!」

洋介が手繋いでくる。

イケメンに突然手繋がれるのと、怖いのとで、これはまさに吊り橋効果ってやつ!

ドキドキが止まらない。

そんなに普通に手って繋げるもんなん?

トンネルの前まで来た。

繋いでくれてる手をぎゅっとにぎる。

ドキドキもするけどトンネルも怖い。

色んな原因ありすぎて心拍数おかしい事になってる。


「じゃんけんで負けた組がトンネル通ってくる?」

親友がじゃんけんしようとする。

ペアの代表3人でじゃんけん。

親友が負ける。

たいてい言い出した人が負ける仕組みになってるから不思議。

良かった。行かんでいい。

親友と小林君が手を振ってトンネルに入っていく。

洋介とずっと手を繋いだまま見守る。

10分くらいして親友と小林君が戻ってくる。


「何ともなかった?」


「全然大丈夫!普通!

次どっち行く?

次のペア、バイクで上の道行ってみよー!」

小林君が言った。


上の道も変なとこにカーブミラーがあって心霊スポットになってるらしい。

洋介がじゃんけん負けて行く事に。

怖い。でもまだバイクの後ろは歩くよりマシや。



バイクで上の道を走る。

怖いからぎゅっと抱きつく。


「ないよな?」


「え?…うち、怖くてほとんど見れてない…」


「今、怖くて、めっちゃ抱きついてる感じ?」


「…あかんかった?…でも今は離れたくないからちょっとくっつかせておいて。ほんまうち無理なんやって」


「全然いいよ、俺的にこの状況ラッキーやし。

もう、わからんから帰ろっか」


「うん!!」

洋介も吊り橋効果?

いや、後ろから抱きつかれておっぱい押し当てられたらそりゃラッキーか…

そのままみんなのとこまで戻る。

はぁー、めちゃくちゃ怖かった。


「それっぽいのなかったよ」



「えー?ちゃんと見てないやろー!!

てか、もうこんな時間なんやな。

そろそろお開きにする?」

そう、もう3時過ぎ。

親友が声かけて今日はみんな帰る事になった。


自転車置きっ放しやから、洋介のバイクでさっきの場所まで送ってもらう。


「かおり、このまま俺とラブホ行ってみる?」


バイク乗りながら洋介が突然言い出す。


…え?聞き間違い?ラブホって言った?

エンジン音と風の音で大きい声で話してくれるけど、はっきりとは聞き取れない。

うちの妄想なんじゃないかとも思う。

「何て?もう一回言って?」


「何でもなーい」


…??何だった?








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