第20話 シャトルの異変

瑠衣は従者の影沼と共に各国代表が集まる国際会議場へと来ていた。

今回の集会は宇宙へ上がったシャトルの帰還をモニターするという事だった。

各国の代表者達の身内も搭乗していることから、それを無事に見届けるという事もある。

ハバキリのメンバーとなっていた信条渉と張晃もこのシャトルに乗り色々探ってもらっていたのだ。

シャトルがステーションを離れたと報告を受け時間が経つ。もう30分程するとシャトルが大気圏へと突入するというタイミングだった。

突然、会議場へ警告音が鳴り響く。



「な、何事だ!?」

「た、大変です!各国の代表を乗せたシャトルが…トラブル!?大気圏突入後、切り離す予定の外部装甲のシステムが機能していないようです!」



国際会議場へ響く声。ざわざわと各国の代表達も騒つき始める。



「シャトル…このまま外部の装甲を切り離す事が出来なければ…大気圏突入後に減速する為のパラシュートが上手く作動せず…」



重い空気と沈黙が走る。



瑠衣「外部の装甲を切り離す事が出来ない。減速のパラシュートも開かず、地上へ激突する可能性が高いですか…」



沈黙を破ったのは瑠衣の発言だった。



「ど、どうするんだ!あれには私の息子も…」



ある国の代表が発言する。



瑠衣「多分、下手に外部から弄ればバランスが崩れて爆散しかない…。内部との通信は?」

「ジャミングのようなものがかかっていて、通信ができません…」

瑠衣「ハバキリに連絡を!」

影沼「ハッ!」



影沼はハバキリ所属艦2隻に連絡を入れる。

瑠衣は簡潔に状況を伝える。



「で、空飛ぶ戦艦で何をする気かね?」

瑠衣「戦艦でギリギリまで近づきアンカーを打ち込み減速させます」

「そ、それは下手をするとシャトルも危ないのでは?」

瑠衣「そうですね…。下手をするとそうなる可能性も高いです…」

「それでは困る!あのシャトルには各国の代表者の身内も多く乗っているのだよ!」

瑠衣「では、他の方法があると?」

「ウッ…!」



反論する各国代表者のに威嚇するかのような表情を向ける瑠衣。

その迫力に代表者も黙るしかなかった。

通信回線を開いた瑠衣は2艦に向けて話し始めた。



瑠衣「先ほど説明した通り、シャトルにトラブルがありました。時間もありません、大気圏突入まで残り20分程…。両艦にはシャトルの減速と安全確保をお願いします」

『了解!』



そして、両艦は数分後にはシャトルの降下位置付近に待機し、その時を待っていた。



「は、ハバキリ部隊の前方にアンノウン!これは…所属不明の部隊です!」



瑠衣はその報告を聞き、苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべた。

念のためと思っていたのだがそれが、的中してしまったからだ。



瑠衣「魔法装甲を…各機を発進させてください!」

ソアラ『了解しました!各機、発進を!』



2艦から各部隊が発進し、敵の迎撃に当たり始めた。



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