第10話 失踪事件

様々な事件を解決しながら1ヶ月が経過した頃。

軌道ステーションから新たな敵艦と思われるものが目撃されたとの知らせを受ける。

それと同時に集団失踪事件も起きていた。

そして、ハバキリの面々にもその不吉な魔の手はもう既に絡みついていた。



ハバキリ

2番艦 蒼穹 ミーティングルーム



瑠衣「皆さんに報告があります…」

瀬那「あの…エリゼさんがいないようですが?」

瑠衣「それも含めてお話しします」



重苦しい雰囲気の中で瑠衣は話を始める。




瑠衣「先日、とあるライブ会場より多数の失踪者が出ました。その中には…西島 遙さんも入っておりました」

瀬那「そんな!遙が!早く助けに行かないと!」

ウル「落ち着け!」

瀬那「でも、ウルさんだって!」

瑠衣「話はまだ終わっておりません!意見があるのなら終わってからにして下さい」




いつもと違う様子の瑠衣に皆、黙り話を聞くことになった。




瑠衣「今回の失踪事件…。ウルさんより報告があった感知できない魔獣の正体と思きもの。そして、会場近くに出現した魔獣…いぇ…魔獣化した者と言うべきなのでしょうか」

梁「一体どう言う事ダ?」

瑠衣「私にもわかりません…。今から皆さんにもそれを見ていただき判断して頂きたいのです」




瑠衣は監視カメラの映像をモニターへ映す。

街中で1人の男性と思わしき人物が周りの人とは違うような歩き方をしている様子が映っていた。

そして、ライブ会場で失踪事件が起きた直後。そのモニターに映る男性に変化が訪れた。




ウル「……………」

琳「な、何だよコレ…」

綺「そんな…」




皆はモニターを見て絶句していた。

そう、様子がおかしくなった男性は突然その身体を膨張させていき、魔獣へと変貌して行ったからだ。

その後、ハバキリの第2部隊がその魔獣を倒し、その魔獣がドロドロに溶けて行く様子が記録されていた。




梁「あの時俺たちが倒したのハ…」

マキシム「って事か!?」

クルール「いや…これまで倒してきた奴らももしかしたら…」

アミダ「元…人間…?」




長い沈黙が走る。




瑠衣「更に悪い知らせです。行方不明の遙さんを追っていたエリゼさんも先刻より連絡がつかない状況です。通信ができない状況にいるだけかもしれませんが、もしもの事もあります」

ウル「これからエリゼが消息を絶ったという付近を捜索にあたる!リコンが関わっている可能性もある全員気を引き締めろ!」




ミーティングが終わると、瀬那はウルに問い詰める。




瀬那「ウルさん!どうして遙を探そうと…」

ウル「確実に場所が分からない以上、無闇に探しても混乱を招くだけだ」

瀬那「だったら私が!」



そう言いかけた時、琳に手を引っ張られとめられる。



琳「やめろ!すぐに飛び出して探したいのはアイツも同じだ」

綺「私情に囚われてチームを乱す事はできない事…わかってあげて?」



2人は思うように行動できないウルの気持ちを代弁するように瀬那を諭す。



ウル「お前の気持ちは嬉しいが…今はやるべき事をやるまでだ」



ウルがぎゅっと拳を握る所を見た瀬那は背を向け格納庫へ向かう彼の姿をじっと見つめるしかなかった。

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