Nr.24 終幕I——リデュース——
私達は宇宙ステーション・オルフェオに戻って来た。
リブレット号はオルフェオからの誘導ビームに従って速度を落としながらゆっくり宇宙船受け入れドックに向かい、無事に宇宙ステーションに停泊した。
リブレットの入り口ハッチが開くと、宇宙賞金稼ぎギルドの職員であるレガートが出迎えてくれていた。
そしてレガートと共にもう一人、煤竹色の髪をした、物腰の柔らかそうな男の人が出迎えていた。
そのまま腕を広げ、勢いよく男の人にぶつかって行った。
男の人は慌てて
慌ててレガートが後ろから支え、二人は倒れ込まないで済んだ。
一瞬の間、お互い真顔で見つめ合い、そして同時に二人して声を上げる笑った。
「
「お兄ちゃん、ごめんね……」
「いいんだ。
男の人は
そんな
微笑ましい兄妹の再会の場面だった。
やがて落ち着いた後、氏は改めて私達の方を向いて、頭を下げた。
「本当に、ありがとうございます。あなた方がいなければ、今頃どうなっていたか分かりません。どれだけ感謝しても足りません」
「いえ、運が良かったんです。でも、無事に妹さんを送り届けることが出来て良かったです」
「やはり、あなた方に依頼して良かったです。報酬は当初の予定より弾ませて下さい」
「あ、あの……」
「何でしょうか」
フィーネがさっきからむずむずしてたのは知ってだけど、遂に堪え切れなくなったのか、ずいと前に出て来た。
「覚えておいででしょうか……その……地球の……」
「ああ、温泉の事ですね」
「は、はいですわ!」
フィーネは顔を赤らめ、慌ててハンカチで口元を隠す。
「もちろん、忘れてなんていませんよ」
リーフレットの面には青々と広がる空、青く透き通る様な海、そして白い砂浜、おしゃれなホテルの写真がプリントされて、下には管理会社の物と思われる小さなマークが描かれている。
「皆さんには、我が
「ほ……本当ですか……う、嬉しすぎて涙がでましたわ」
「ええ。ぜひぜひ、リゾートには好きなだけ滞在して行って下さい」
私達、今回は結構頑張ったし、これくらいの贅沢はぜんぜん良いよね。
「ああ……神様……生きてて良かったですわ」
フィーネはハンカチで口元を覆って表情を隠してはいるけど、目は潤んでるし声はちょっと震えてるしで、喜びが溢れているのは誰が見ても明らかだ
「ははは、大袈裟ですね。良ければうちの船で皆さんを地球までお送りしましょう」
「それは助かりますわ!さ、アリアさんっ、早く!早く参りましょ!」
「わかった、わかったから少し落ち着いてフィーネ」
急かすフィーネを宥めて何とか落ち着かせる。
でもここにいても他にする事も無いし、せっかくの申し出何だからさっさと地球のリゾートに向かうとしようかな。
「じゃ、お言葉に甘えて私達も地球に行きましょうか」
小躍りしながら
私もその後に続いて行こうとしたその時。
「アリア、少しだけ時間良いか?」
私だけレガートに呼び止められた。レガートは親指で宇宙賞金稼ぎギルドの事務所がある方向を指している。
「ん?良いけど……何?」
「大した事じゃないさ。せっかくだから軽く、定時報告でもしてもらおうかと思ってな」
「そう……分かった。みんな、ちょっとだけ船で待っててくれない?すぐすむと思うから」
「構いませんわ。お二人でゆっくりお話ししたい事もありますわね。アリアさん、わたくしたちは、先に船で待ってますわ」
「ありがと」
レガートと私は二人、皆と別れて宇宙賞金稼ぎギルドの事務所に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます