Nr.22 終焉II——ノヴァ・スフィア——
リブレット号の周りに次々とワープしてくる戦艦達。
戦艦に備え付けられた砲台の照準は、全てこのリブレット号に向けられている。
その証拠に、戦艦からのロックオンを示すアラートが、リブレット号の艦内に鳴り響いている。
耳障りなそのアラート音はいつまでも鳴り止まない。
一体、どれだけの数の戦艦かこの宙域にワープしてきているのか。
「ちょっと……この数やばいんじゃない……」
「いくらなんでも、たかが宇宙賞金稼ぎくらいにこの戦艦は多すぎますわ……」
三十……四十……わからないけど、数十艦はいるだろう。
おそらく、ゼフィローソ一家の所有している戦艦を全て出動させている。
「なぜそこまでして……」
「考えられるとすれば、さっきの戦闘でアリアさんがやっつけた……」
「ヒュドラリス……あいつ、そんなに大物だったの?」
「その様ですわね……組織を上げて報復に来ている所を見ると、どうやら、幹部クラスを殺ってしまった様ですわね」
「参ったわ……」
いくらリブレット号の装甲がそんじょそこらの戦艦よりは頑丈に出来ていると言っても、四方を取り囲んだこの数十艦の戦艦から一斉に砲撃されたら、あっという間に宇宙の藻屑になってしまう。
「敵の旗艦から電報の通信ですわ」
「電報?何て言って来てるの?」
「我等、完全ニ包囲セリ。逃ゲ場ハ無イ。速ヤカニ降伏セヨ……ですわ」
「降伏した所で、命の保証は……」
「無いですわね……」
「さらに電報ですわ……降伏ナキ場合、五分後ニ総攻撃ヲ仕掛ケル……ですわ」
「参ったわね……」
リブレット号のブリッジは重苦しい沈黙に包まれている。
どちらにしても勝てないんじゃ、こうなったら自棄になって突撃でも……
「なんじゃ、情けないのう」
沈黙を破ったのは、
振り向くと、
いや、この話し方は……
「
「
「はいはい、
「何を言うか小娘。我が何者なのか忘れたのか?」
確かに、
けど、今はその力を殆ど失って、さっき閉じ込められていた時には、鍵の掛かった入り口の扉だって開く事ができなかった。
今はそれどころじゃ無いんだけどね。
「……!」
突然、
「
「床では無い……正確には、その向こうにある……これは……」
「床の向こう?」
「その方向は、リブレット号のエンジンルームのある方向ですわね」
「エンジンルームかの……なるほど……お主ら、この船の動力は、何じゃ」
「ごめん、知らない。フィーネは知ってる?」
「ええ、知ってますわ。いえ、わたくしもよくわかっていないのですが、この船の動力炉にあるのは、ノヴァ・スフィアですわ……正確には、その欠片ですわね」
「ほう、ノヴァ・スフィアがこんなところに……の」
「何それ?」
訳がわからない。
そんな物、聞いた事ないんだけど……
「ノヴァ・スフィアは、イオの遺跡で発掘された謎の物体ですわ。現代の技術では解明されていない、古の技術が詰まったオーパーツ……としかわたくしは存じませんわ」
「そんな物積んでるの、この船」
「ええ」
「だから物理法則を無視して高出力を出したり無茶苦茶な変形とかできたのね」
「古の技術……の。まあ、そうとも言えるかも知れん」
「
「ふ、知ってるも何も、それは我じゃ」
「え」
「かつて、全盛期だった頃の、我の力を封じた石が、ノヴァ・スフィアじゃ」
「失った力……じゃあ……」
「と言っても、この船の動力炉にあるのはそのほんの一部の様じゃが……どうじゃ、少しの間、ノヴァ・スフィアを我に貸して貰う事は可能かの?」
「それは構いませんわ。でも動力炉には、簡単には行けませんわ。エンジンルームの中は鋼鉄の壁で覆われてますの」
「そんな物は大した障害ではないわ。あの石は我の一部じゃと言ったじゃろう。ここから力を引き出して、我の姿を石の前まで瞬間転移するだけじゃ。あとは……まあ見てのお楽しみにしてやるぞ」
「無茶苦茶ですわ……でも、今はそれしかてはありませんわね」
「そうね。
「ふ、やっと我の事を邪神と認めてくれた様じゃの……では、期待に答えて来るとするかの」
そう言うと、
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