第17話 老人の正体?
『なぜ、犯行の日がわかったんだ?』
視線の先にいた老人は、カイトが一瞬クロを気にして目をそらした後、その姿は見えなくなっていた。
『盗ることを知られているということは、家の人も絵を盗まれることを知っていると考えたほうが良さそうだな。いや、家の人が先に気づいたか?』
『家の中に絵は無いかもしれない…』
そう考えながらカイトは、とりあえずターゲットの家を後にしてクロに捕まらないように身を隠した。
『あれ?まだ捕まるようなことはしていないような…、逃げなくてもよい?…まぁ、逃げとくか。』
カイトが足早に歩いていると、すれ違いざまに
「わしの絵に興味があるのか…」
ボソボソっと声をかけられた。驚いて振り向くと、さっき視線の先にいた老人だった。
「わしの絵に興味があるのか?または別の目的があるのか?」
老人はカイトを下から覗きこむように話しかけてきた。
「まさか…、タンギー…」
そう、カイトが狙っていた絵画はタンギーの作品だった。タンギーは驚くカイトの肩を叩き、
「サービスで予告状を代わりに出しておいたぞ」
と耳打ちし、笑いながら去っていった。
『予告状?、なんのことだ??』
カイトは意味が解らずに立ちつくしていると
「ガスか電気の点検を装って入る作戦、脱帽だわ〜。予告状は意味があったのか?」
話しかけてくる声に驚いて振り向くと、そこにクロがいた。
「あれ?捕まえないの?」
一瞬逃げようとしたが、クロが捕まえようとしていない気がして、つい聞いてしまった。
「捕まえないよ。玄関で家の人と話していただけだろ?それにしても、その変装良く出来ているな。予告状があって、その時間に家を訪れているのを知らなかったら気づかないよ」
「予告状??」
「私に出したやつ…、あれっ?、まさかカイトは予告状を出してないの?」
「私からの予告状が届いたの?」
「そう。今日、ここに盗りに来るっていう予告状」
「????」
カイトが目を丸くしている。
「今日?、ここに?」
「カイトじゃ、ない?…じゃあ、誰が!」
「タンギー…」
「カイト、心当たりがあるのか?」
「さっき、予告状を出しておいたっていう老人にあった。何故盗ることがわかったのかは謎だけど、予告状を出したのは、その老人、タンギーだ。」
「タンギーって?」
「…。言いにくいことなんだけど、私が今日盗る予定の絵画の画家がタンギーっていって、さっきここにいた。」
「ここに? カイト、その画家の作品を何度も盗ってるからじゃないのか?」
「ありゃ、バレてたか。言いにくかったって言ったのが恥ずかしいな。」
「何で同じ画家の絵を狙ってるんだ?今の感じだと、ファンってわけじゃなさそうだけど…」
「クロの感のいいとこ、困るわ~。透けて見られてる気がする。読み通り、ファンじゃないけどね。あと、タンギーは盗られて困るってことでもないみたい。」
「カイトもそう思う?私も盗られないようにしていたとは思えなくて…カイトの泥棒の動機も気になるけど、その老人、タンギーが何をしようとしているのかが、今は気になってる。」
「謎とき出来るまで、共闘してみる?」
カイトの声にクロは…
つづく
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