第12話 クロの能力とは?

「そうなんだよね。事件に関係しているが、何か掴みきれていない、そんな感じがする。彼、もう来てくれないのかな?探偵ってバレちゃったし…。何か隠してるはずなんよね。」



「きっとくるです!」


「カスミは、なんでそう思うの?」


「良い人っぽいです。」


「そっか…、じゃあ、きっと来るね。」



カスミの予想は合っていた。数日後、バーに行くと、カイトがカウンターに座っていた。


「こんにちは〜」


クロは何ごともなかったように挨拶をする。心配なのは疑っているのがバレないかどうか。変に距離をとるのは良くないと思う、そんな、こんにちは。



「先日はどうも。つい熱く語ってしまいました。」


カイトの返答にクロもホッとし、カウンターの横に座って楽しく話しだした。


「前の話とは反対に謙虚って難しくて、本人はって思っているけど周りからはと思われていると、本人は疲れてしまい、出来ないという言葉がに聴こえる。」



「ほんと、そんなときあります。この間もカスミが出来ないって言ってくるときあって…」


と話していると、



「ちょーーーーっと、待っーーーたぁ!!!」



勢いよくカスミが入ってきた。BARへの来客としては異例の登場だ。カスミが前のめりに座り、こっちを見ているのを見てBARのマスターは笑いを堪えている。


「謙虚の話だったよね、いつも自分ばかりやらされているとモヤモヤしてしまう。」


「なるほどです!!出来るのにしない人います!」



そんな話をしながらカイトは考えていた。クロが同調してくれる、カスミが前のめりに聴いてくれる。そんなバーでの雰囲気が有難い。ただ、正体が近いうちにバレるだろう。何か気づかれている。そんな気がしながらカイトはBARをでた。


そして、さらに数日後、やっぱりバーに来ていたカイトは、探偵クロ、助手カスミと会った。



「また会いましたね。」


今度はカイトから話しだし、また、3人は楽しく話しをしているとクロが、


「盗った後の絵画の保管って温度管理してるんですか?」



「!!!!」


カイトは驚いた。バレてる。どうしようか…


「温湿度の管理は出来てますよ。」


クロの確信のある顔にとぼけるのは無理と判断し、質問に応えることにした。



「良かった。安心しました。じゃあ飲みましょう」


「あれ?、捕まえないんですか?」


「探偵なんでね。現行犯、追跡中は追いかけますよ。このバーで普通に会ってるときは、バーのお客さんの一人ですね。話自体、嘘ついて仮面つけているだけかもしれないですし。」



「ぷっ!」


カイトは吹き出した。


「ところで、気づいたキッカケはあるんですか?」


「それを言うと現場で隠してしまうから言わない〜。秘密。」



「ケチ〜」


「ケチだよ。まっ、実は隠しようがないから言ってもいいかな。私には超能力があってね。相手の時間が見えるんよ。」


「???、時間が見える…」


「そう、例えば、目の前にいるカイトの使える時間が長いか短いかを見るだけで解かる能力。」



「なるほど、懐がわかるってことか。今日の私を見て、明日、クロが私に会ったときに持ち時間が短くなっていたら、間で何か盗ったって解るってことか…。これは知ったほうがプレッシャーだな。」


「そうでしょう。だからカイトに話した。」


「なるほどね〜。気をつけるわ」


どちらからともなく笑いが込み上げてきて、しばらく笑い声が響いた。



「カイト。ただ、もう一つ、気づいたキッカケになった特徴があって。時間が見えるってのは本当だけど、カイトの時間が見えない。増えてるのか減ってるのか。今どれだけ使えるのか、見えない。そんな人は他にいない。現場には、そんな時間が見えない人がいた。変装したカイトだろ?」



「そう。合ってる。クロと目があったよね」


「変装していて時間が見えない人が現場にいるだけで充分怪しい。だから気になったんだよ。カイト、君はこの世界の人じゃないんじゃないか?」


「えっ、まさか宇宙人なんです?」



つづく

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