第6話 時間が変わる世界で、いざ泥棒!
絵画って、お金の世界では凄い金額で売買されたりしているけど、この世界ではどうなっているんだ?絵画の価値はどうなっているんだ?』
『ちょっと気になることがでてきた。』
『高級料理をゆっくりと感謝しながら、たっぷり時間をかけながら食べるのが時間の世界での礼儀・ルールなら、貴重な絵画は時間をかけて観るための庶民には見れない場所にあったりするのか?』
『たっぷり時間をかけて観れるような個室とか?時間をたくさん持っている人が所有しているんじゃないか?普通の美術館にはないような気がする。』
数日間、絵画について調べてみることにした。
さすがに同じ人がいろんなところで調べ倒していると怪しすぎることや、貴重な絵画自体がNGな話題かもしれないため変装をして。。。
『予想通り!。普通の美術館の鑑賞スペースには無いが、貴重な絵画自体を見ることがないため、誰も興味はなく、スマホで検索してもわからない。それがこの世界の絵画だ。』
あと、調べてみた際に予想外なことがあった。意外と変装がしっくりきていて得意なことがわかった。
『老若男女、けっこうバレない!これはハマりそうだ。』
カイトは調べれば調べるほど貴重な絵画が見れないことに違和感を覚え、しっくりきていなかった。ほんとに庶民が安易に短時間しか鑑賞しなかったら失礼なのか?ってことだ。
『食事はわかる!食べたらその場から見えなくなることもあって、食材、調理への感謝、さらには食器や搬送、食材を準備する過程も含めてとなると時間はいくらあっても足りない。』
『絵は消えんよね。本みたいに作者が多くの人に見てほしいって、いろんな感性で感じて欲しいと考えていることはあるんじゃないか…』
見ることができない絵が存在する。
カイトには、このことが何か意味を持っている。そんなふうに思えていた。
『時間を多く持っている人は、いつ絵画を観ているんだろう。どんなところにあるんだろう。観るときの感謝って、なんだろう?』
『もっと、その時間の使い方をみんなが出来れば、世界は良くなるんじゃないか…』
時間の世界にいながら、カイトはお金の世界を重ねあわせていた。お金持ちの人って、どんなお金の使い方をして、何を観ているんだろうかと。
『絵画の在り処を知る心あたりはあった。絵、骨董を売っている人がいる、また、建設する際には絵を置く場所を決めているはず…』
当たりだった。
意外と絵画の所有者を知っている人は多く、なんとなくだが時間を多く持っている人へのヤッカミがあるようにも感じられた。
数日後、一つの絵画がタワーマンションから消え、タワーマンションの清掃員の一人の行方が分からなくなった。
「絵がない!!!」
タワーマンションの一室での女性の声により事件は発覚した。マンションの一室に、一枚の絵、ソファだけがある部屋。その部屋にあったはずの絵がない。
この部屋は声を発した女性が経営する会社の一室。絵を観る部屋。ただ、今はソファだけの部屋となっていた。
犯人は、もちろんカイト。
事件の少し前、変装して白ひげをたずさえた清掃員に紛れマンションに出入りをする。
『このマンションに絵画があることはわかった。後はどの部屋か…。』
『なんと、すぐにわかった。清掃員の中では有名で面白い部屋があると教えてもらった。ソファだけの部屋については言いたくなる。』
絵画の場所を把握したところ、なんと鍵がかかってないことに気づき、そのまま絵を拝借して去っていった。
『防犯センサーに頼っていたんだな。』
清掃員は絵の近くも清掃するため、そのとき防犯センサーは作動しない。
『清掃員のモラルが高いのかもしれないな』
『いや、違う…。そうじゃない!』
…つづく
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