第4話 時間が長くなるって?どんな現象??

『まず知りたいことは、時間が長くなるって…、なんだ?、どんな現象?、何が変わるんだ?、何が出来るんだ?』


カイトは、今まで見たこと、本に書かれていることから一つの答えに行き着いた。



『処理能力が増えるイメージだな』


『さっき、今日の時間が長くなってるって話をしていた学生がスマホ3台持って同時に別の動画を見てた。ただクレイジーなだけかと思っていたが、こういったことが出来るってことか?、時間が長いって。』


『風を切る速さで走り去るのが見れるわけじゃなさそうだ。なんか残念…』

 


期待した状態がみれなさそうなことに少し気落ちするカイトは、何か得られないかと時短術の本をみている。


そこには時短アプリの宣伝があった。一つのスマホを用いて8画面まで分割して同時に別の動画を見る内容だった。映画を8本同時に見れるってことらしい。



『普通に考えたら混乱アプリだな。』


『他にも長い時間になるイメージは、考えごとは時間をかけずに済んだり、休息が短時間で効果が得られる感じか…、いいかも!』



『なるほど、面白い!』


『役に立つこと、喜んでもらえることをし続ける人には、よりその活動が出来る状態になるってことだな。』


『逆に良くないことをしていて時間が短くなったときは、休息に長い時間が必要だったり、一つのことでもゆっくりじゃないと身体が動かず、頭にも入ってこなくなるのか…』

 


お金のある世界でも、休息に時間の差があったり、心ここにあらずで同じ話でも頭に入ってこなかったり、逆に相手の言いたいことが聞かなくてもわかるってことはあり、その現象の基が行動からきている部分にカイトは引き込まれていた。


『この世界、差が一度出来たら広がり続けるって思ってたが、そうとも限らないな』



カイトは、差が広がりにくい部分もあることに気づいた。


『動画をまとめて見るアプリ…、役に立つ情報を短時間、一度に入手できるが、単純にドラマをいっぱいみるだけになったら、動画を見ている間自体は役に立つ要素は少ない。』


『お金と同じで、時間を使う快楽はありそう…』


『また、短い時間になったときに休息時間が長くなるってことは、迷惑な行動をする時間も少なくなりそうだ。…奥深いな。』



ご飯を食べたり、買物をしたり、いろいろ調べていくうちに解ってきたことをカイトは整理していた。


『生活は出来そうだ。ただ、まだ役に立つ仕事らしいことをしていないので、おそらくこのままダラダラしていると時間は減っちゃうんだろう。』



『何かしなきゃ』


カイトは職探しを始めることにした。


『スマホも財布とともに無くなったから、検索に慣れた身体には調べるって新鮮に感じる。スマホあっても、お金のある世界のスマホがここで使えるかは疑問なんだけど。…しかし、スマホは欲しいな。』


お店に行くと、意外とすんなりスマホが手に入った。手続きらしい工程はほとんどなかった。



『そっか、長めの説明、手続きはお金が関係していたのか…。なんか、お金って凄いな』


スマホで調べると人気の仕事がすぐにわかった。


『医者、看護師、介護職…、命に関わる仕事は時間が増えやすいようだ。人気なだけあって休暇も多く、人手不足とは縁遠い職種になっている。』



『清掃業や保育士も上位だな。資格がなくても出来そうなのは清掃関係かな』


お金の世界とは少し異なるみたい。実際に生活している人にも会話しないと解らないことありそう…、そう思い、お酒が飲めるところでそれとなく必要とされている職業を聞くことにした。



『バー【くろの巣】、ここに入ってみよう』


少し飲んで、お店のマスターに聞いてみた。

「最近、話題になっている仕事や、求められる仕事って何かあったりしますか?」


「そうだね、最近は泥棒かな」


「えっ、泥棒ですか??」



…つづく

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