第3話 泥棒をすると時間が短くなる?

『あれ?、時間ってストックできるのか?銀行はあるのか??』


お金と同じように預けたり、投資出来る場所は存在しないのか?。この問いに、カイトはレストランでの観察、聞こえてくる会話から何となく思っていることがあった。



『時間は預けられないんじゃないか?』


昨日良いことをしたから今日の時間が多い、今日良くないことをしたから明日は短い…、何かを支払っている様子がない…。そんな情報から思うに…


『翌日の時間だけが変化するのでは?』


『増えた時間で良い活動や感謝をすると、さらに増え。良くないことで減った時間に対しての不満や周りにあたったりしていると、さらに減る。そんな気がする。』



 『やっぱり、この世界、面白い!!』


いろいろ解ってきてワクワクすると同時に、カイトは少し気になっていることがあった。


『やっぱり、ここは夢ではない?夢じゃないとしたら…、この不思議な世界から元の世界に戻る方法は何か?…、まっ、これは後でいっか』


『自分だけ飛んできたとは限らないな。見る限り、お金を知らない文化のようなので、の存在を知っている人を探すのが早い。まずはこの世界の文化を調べるか…』



『そもそも時間の文化って何だ?、お金と違うところって何だ?。他の人には自分の持ち時間は見えるのか…、おそらく見えないな。周囲の会話から、自分の時間が短い、長い、をわざわざ言っているところをみると他人には解らないっぽい。お金のある世界でも他人の所持金は解らないので、ここは納得だな。』


カイトは自分に言い聞かせながらアタマの整理をしている。


悪いことをすると時間は短くなり、翌日には良くするための時間が短く、リカバリーする時間は少ない。良いことをし続ける人とは持っている時間に差が大きくなり、その差は広がり続ける。



『この世界は、かなり差が出るな…』


『悪いことをし続けると、みるみる時間が減る。泥棒を生業としたら悲惨だな…』


『また、時間にゆとりがあり、多くの時間を持っている環境で育つと時間は長くなりやすいんじゃないか?』



『やりたいことを叶えるには時間の価値を知る必要があるな。この世界での時間の常識を知らないと…』


そう思い、カイトは本屋に行き、この世界の時間について調べることにした。



『さすがに時間に関する本は多いな。』


とき持ちになる習慣、ときの使い方、いろいろある…、とき…、刻は時間のことだな』


ふと、平積みにされている最近出た本を手にとる。



「夢ととき


夢を叶えるにはときが多く必要とのことで、さっき、ふんわり思っていたことが書いてあった。ときを得るためのについてなど、知らないうちに本に引き込まれていた。


『ところで、この世界で本を買うのはどうするんだ?』


『お金を払う必要がないためレジはない。入口付近に本を入れるための紙袋が置いているだけで、店員の人たちは本の補充、照明の調整をしている。お客さんは欲しい本を手に取り、そのままカバンに入れたり紙袋に入れてスタスタ出ていく。』



『万引きにしか見えないな』


『あれっ、照明の調整ってなんだ?』


『そういえば立ち読みしているとき、手元が明るく読みやすかった。そっか、作者からしたら家で読んでもらうのも本屋で読んでもらうのも、ことは同じなんだ…。快適に読んでもらうことが作者への感謝として大切なのか。』


『店員の方が創る快適な照明はお客さんだけでなく、作家さんへのプレゼントにもなっているんだな。2つがあるのか…』



カイトは先程本屋から持ち帰った数冊の本から時間の文化を学ぶことにした。


『まず知りたいことは、時間が長くなるって…、なんだ?、どんな現象?、何が変わるんだ?!何が出来るんだ?』



…つづく

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