第2話 カイトはレストランで時間を稼ぐ

まず、一番気になっていることは…

『腹ごしらえ』


カイトは飲食店を店外からジロジロと見て回っていたが、無料で食べることのカラクリが解らずにいたため未だに食事にありつけておらず、実はお腹がかなり空いていた。



『通常、お店で食べるときはお金を払う。しかし、お金じゃなく感謝が通貨ということは、どうしたらいいんだ?…褒めることが通貨か?』


『あってるような、何かが足りないような…。一番困るのは間違った解釈でが足りなかったときだ。』


幸い、ジュースを無料で手に入れた後に何か不都合は生じていない…



「BLTサンドください。」

テラスにテーブルがあるレストランで、サンドイッチを頼んだ。


テラスのほうが周りの人の様子が見やすく、視線を上げていても変に思われないように手で持てるようにサンドイッチを選択し、席についた。


テラスの場所は同じようにサンドイッチを食べている人が多く、これは観察には適していて、何かのが発生しているかをじっと見る。



『店員をベタ褒めしている感じじゃない。ただ、ゆっくり食事を楽しんでいる。視線や聴こえてくる会話から、食べることが出来る時間に感謝している。調理されている一品の盛り付け方、席がキレイなこと、そんな思いを感じながら食べている。そんな感覚がある。』


『この感覚が時間を増やすのか!?』


『お金って存在は、直接商品を受け取る瞬間以外の感謝を省略してしまっているのかも…』



『この世界、面白い!!』


安心してサンドイッチを頬張る。安心したからか、お腹が空いていたからか、とても美味しく感じていた。


『こんなにゆっくりサンドイッチ食べたこと、今までなかったな。今日、こんなに天気良かったんだ。上見て食事するって、なんか新鮮だな。』


お店を出ると、サンドイッチだけだったのだが、とても満足した感覚が得られ、気分良くなった。



『これが食事のか。プラスしかないな。みんな食事ばっかりしてしまうのでは?』


レストランでの食事を思い出してみる。


貴重な具材や、調理に時間がかかるメニューを選択している人、気軽に食べられるメニューを選択している人、何が違うのか?



『高級な食事をしている人は、周辺の感謝も食材や盛り付けにおいても時間をかけているな。カジュアルな同じレストラン内でもわかるくらいとなると、一組ずつで予約制のスタイルのお店だと、一日の持ち時間の大半を使ってしまう。いや、普通の人は前菜だけで一日が終わってしまうかも…』


『食事の途中でお店を出るのも失礼になって持ち時間が短くなるんだろうな…、高級料理は食べられないな。』



『まっ、ご飯を食べる方法がわかったのは収穫だった。そう思ったら小腹が空いてきた。回転寿司とかあるのかな?』


この世界はお金がない。この対価をカイトは感じ始めていた。



『お金が感謝をスマートにしていたんだな。なんだか感謝しないことがあたり前になっていた。』


『この世界では、良い行いをしている人がもっと良いこと、役に立つことに力を注いでいるに違いない。』



そう思っていると、


「昨日、すっごく感謝されたから、今日は時間がたくさんあるです。今からいっぱい動画見なきゃ!」

と言いながら女のコが前を横切った。


『そっか…、貯まった時間を使う快楽ってあるんだな。稼いだお金をショッピングや旅行で使うのと同じことがあるのか…。』



お金も時間も貯めるって難しいと思いながら、ふと気になったことがでてきた。


『あれ?、時間ってストックできるのか?銀行はあるのか??』



…つづく

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