第41話 エピローグ
「それで誰が本命なのかしら?」
「はぇ?」
学園屋上の中、アリス・クトゥの唐突な問いに思わずそんな間抜けな声が漏れた。
本命ってあれか? 女の子的なサムシング?
そんなこと言われましても。
本命も何も僕はたかがモブだ。そこら辺に溢れる有象無象な存在。そんな僕が誰かに選ばれる、ましてや選ぶなんて烏滸がましいにもほどがある。
そんな僕の様子を見てアリスは何か察したのか。それそれは深いため息をお吐きになった。
「この粗大ゴミはまったく……せっかく…… ……だしたのに」
「え、勇気? どゆこと?」
「この産業廃棄物は……耳ざといだけ性質が悪いわね。何の成果も残さず無様に死ねば良いのに」
「酷くない? ていうか酷くない?」
そこまで言うことなくない?
ていうかしまった。ここは聞こえないふりをする場面だったのか。都合のいい難聴スキルとか主人公って難易度高くない?
「あーーー!!! こんなとこにいた!!!」
へ? なんでクラリスが学園に?
彼女は学園関係者でもなんでもない。単なる冒険者だ。そんな彼女が何故ここにいるんだろうか。主人公君のところいけよ。
「クラリスちゃん待ってよぉー」
続けてリッカも屋上へと飛び込んだ。嫌な予感をヒシヒシと感じる。今すぐここから逃げ出したい。
しかし事態はこれだけに収まらない。
「貴方があのモブ・モブリオンですわね」
高価そうなヒールをコツコツと鳴らしすんごいキラキラした美少女が更に屋上へと登場した。
心なしか見覚えがある気もするが、何故か脳が拒絶しているらしく全くもって思い出せない。
えっと、どなた様です?
「私はこの国の第一王女です。唐突で申し訳ないのですが事態は急を要しますわ」
はい?
「ーーこのままではこの世界が滅んでしまいます」
本当っっっ! この世界はトラブルだらけだなっ!!
え、ちょまじで?
ドッキリとかなら怒らないから早く出てきなさい。ほんとにほんと怒らないから。ほんのちょっぴりしか怒らないから。
え? ドッキリじゃない? ですよねー。
助けて主人公様!!!!!!!
結局シナリオは絶賛現在進行形であり世界の滅亡は未だに回避されてはいない。
まぁそれでもそこら辺のことはきっとどうにかなるだろう。何せ僕らにはこの世界の元になっているであろうゲームの主人公様がついているのだから。
きっと彼がなんか凄い覚醒とかして全部なんとかしてくれるはずなんだっ!!
「呆けてないで私の質問に答えなさいっ」
「モブの癖にそんなに女の子を侍らせてちゃって! ふ、不潔よ不潔っ!!」
「モブ・モブリオン。今は一刻を争う事態なのですっ!」
「相変わらずモブ君の周りは賑やかで楽しいねー」
とはいえ、それは僕に厄介事が振りかかからない保証にはならないらしい。この有り様ですよこの有り様。もはや言葉すら出ない。
きっと僕の望まぬ日常はこんな感じでまだまだ終わらないのだろう。
結局のところ、こんな感じで僕の騒がしくもどうしようもない異世界転生はしばらく続いていきそうなのだった。ため息しか出ないね。
(一時閉幕)
◆◆◆
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モブ転生:どう考えてもモブでしかない僕が原因で世界が滅亡寸前なのは間違っているだろ~しかも原因はメインヒロイン達に言い寄られているせいらしい 灰灰灰(カイケ・ハイ)※旧ザキ、ユウ @zakiiso09
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