彼の話に耳を傾けて
彼が来てくれた。
病室のベットで横になっていた私は、彼に興奮していることを悟られないように、でも彼を心配させないくらいには明い声で返事をする。
彼は一つの所に落ち着くことのできない性分で、何も言わずふらっと旅に出ることもしばしば。
そうなると彼はめっきり私の元に来なくなる。
そんな時、隣のベットに花束を持ってお見舞いに来てくれる人の姿を見ると、たまらなく羨ましくなる。
でもそんな彼に不満はなかった。
なぜなら花束の代わりに、彼は必ず暖かい春をたずさえて帰ってくるから。
旅が終わった後、彼は必ず私の元を訪れる。
それがたまらなく嬉しい。
はやる心を抑え、彼の旅の話に私は耳を傾ける。
心の氷が溶ける音が聞こえた。
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