一目惚れ
入学式が終わり、初めてのクラスで僕は恋に落ちた。
クラスに入って来た彼女を見た瞬間、僕は恋に落ちた。
サラサラの黒い髪は背になびき、長いまつ毛はどこか濡れていて、憂いをひめたその瞳は海の底のように美しかった。
見ただけだ。
息を呑む。
息もできなかったし、声も出なかった。
時間が止まったかと思った。
「見つめすぎよ。何かよう?」
気がつくと彼女が僕の机の前に立って、少し棘のある視線をもって僕を見下ろしていた。
「…」
太陽を直視して瞳に何も映らない時のように、僕は目を細めて彼女を見つめる。
彼女と僕の間で時間が流れる。
「きれいだ」
その言葉だけが口からこぼれ出た。
「久保みなみ」
彼女の言葉はふわりと漂い、僕の心をなでた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます