待っててあげる

 俺は居酒屋でバイトをしている。

 お酒を提供していることもあって、バイトが終わる時間が日付を跨ぐことも多い。

 ああ、もう、今日も酔っ払い客のせいで帰りが遅くなった。

 急いで店から飛び出す。

 店を出ると付き合っている彼女が俺を待っていた。

 うつらうつらとしていた彼女は俺に気づいて顔を上げる。

「なんで店の前にいるんだよ」

「あなたが走って来てくれるから、つい」

「ついじゃねえよ、危ねえだろ、日付変わってんぞ」

「待ってる間怖かった。家、着いていっていい?一緒にいたい」

「いいわけねえだろ。家帰って寝ろ」

「もういっぱい寝たから寝れない」

「じゃあ、お前が寝るまで電話してやる」

 そんな男女の会話が夜闇に響いてたなびいた。

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