君に会いたくて

 はあはあ。

 私は走る。

 今日は彼とのデートの日。

 彼は前もって30分早く待ち合わせ場所に来ることを私は知っている。

 だから私は走る。

 1分1秒でも早く彼の顔を見たくて。

 駅のホーム全力でダッシュ。

 改札を風の速さで通り抜けた。

 道行く人が驚いて道を開ける。

 信号の角を曲がった時。

 あ、いた。

 彼を見つけた。

 こっちだよーと手を大きく振っている。

 私も走りながら手を振りかえす。

 彼の顔を見た瞬間、疲れなんて感じなかった。

 私は君の胸に飛び込み、彼は大きな胸で私を受け止める。

 彼の胸の中は時が止まったかのように静かだ。

 心臓が激しく波打つ。

 水の中で溺れるようにように、肺が空気を求める。

 君の胸の中で必死に喘ぐ。

 ああ、君のせいで息ができない。

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