眠り姫

 今日は二人して公園にピクニックに来ている。

 君ははしゃぎ疲れて芝生の上ですやすやと眠っている。

 ねえ、目を開けてくれないかな。

 昼の君の瞳はとても綺麗だった。

 青い湖のような瞳で、それでいて青空を見上げるような瞳で、たまに雲が流れるのが映る君の瞳。

 でも君はそんな綺麗な瞳をまぶたで隠して、すやすやと眠っている。

 彼女の優しい吐息に白詰草がたらりとゆれる。

 どんな夢を見ているのかな。

 その夢の中に僕はいますか?

 夢の中で僕のことを呼んでいませんか?

 僕がいないと寂しいでしょう。

 待っててね。

 今、夢の中にいる君に会いにゆくから。

 僕は君の閉じられたまぶたにそっと口づけし、君の頬に顔をくっつけて目をつぶり、そして横になった。

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