アイスコーヒーフォアユー

 私は外国人の彼に恋をした。

 これは私がアメリカに渡って3日目の朝の出来事。

「コーヒーが、飲み、たい」

 たどたどしい私の英語。

『無理に英語を話さなくてもいいよ』と彼の流暢な日本語で優しく気遣う。

「新しい、言葉を覚えるには、その言葉たくさん、使う必要、ある」

「なぜそんなに頑張るの?」と彼が聞いた。

「あなたのため」

 私ははっきりと答えた。

 口に出してから急に恥ずかしくなって顔が赤くなる。

「そうか、じゃあアイスコーヒーでいいかな?なんだか熱そうだ」

「あなたが、私を、熱く、させるの」

 そう言って私はふいっとそっぽを向く。

 今の私の顔を見られたくなかった。

 きっとひどい顔をしてる

 横を向いた私は耳までも赤かったらしい。

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