涼香の誕生日会にて 18

 服飾部との入れ替わりで、教室に入って来たのはバスケ部の面々だ。


「バスケ部からは――」


 その場の、モニター越しの全員が固唾を呑んだ。


 なにが来るのか。王道か、斜め上か、それとも涼音すずねか。


「ギ……ギフト券……」

「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」


 スっと出された物に一同は黙り込む。


 まさかの金券。なににでも変わるという点ではプレゼントに最高だと思うが、このタイミング、この流れで金券だ。


「……なるほど。意図は伝わっているわよ」

「そうですね、あたしも解ります」


 涼香りょうかと涼音も、金券は嬉しい。ただ――。


「………………タイミングが……」


 若菜わかなのその一言を皮切りに、バスケ部全員が俯く。


「本当はね、これで涼音ちゃんとどこへでも行けるぜ! って言いたかったんだけど、服飾部がさあ……」

「若菜……」


 紗里さりも気の毒そうに見ている。


 金券を渡し、誰もが、その手があったか‼ となるはずだった。


 しかし、服飾部によるドレスというとんでもないプレゼントが、バスケ部の策略を木っ端微塵に粉砕した。


「四百二十点ね。面白いわよ」


 ほぼ満点。満点が出たため、霞んでいるがほぼ満点である。


「そうね、なににでも使えるという点はいいと思うわ。涼音となにに使おうか悩む時間も楽しいし。……面白いわ」

「…………二回も言わないで」

「続いては家庭科部」


 もう見ていられない紗里が強引に進める。幸いにも、次はここねが部長の家庭科部だ。


 ずるずると入れ替わったバスケ部とここねと、なぜかいる菜々美ななみ


「……どうして菜々美がいるのよ」

「ここねのプレゼントは渡さないわ‼」

「家庭科部からは、お腹いっぱいかもしれないけどクッキーだよ」

「ここね⁉」


 恐ろしいものを見たような表情をする菜々美であった。


 その頃、教室から出たバスケ部は、最後の大会で負けた時よりも悔しがっていた。

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